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全身型重症筋無力症に対するIL-6レセプターモノクローナル抗体エンスプリングの第III相試験のデータを発表

中外製薬株式会社は3月21日、全身型重症筋無力症(gMG)に対する治療薬として開発中のエンスプリング(一般名:サトラリズマブ(遺伝子組換え)、以下エンスプリング)について、第III相LUMINESCE試験の結果を発表しました。

全身型重症筋無力症(gMG)は、筋肉への神経伝達が遮断され、筋力低下が起こる希少な慢性自己免疫疾患です。症状は、眼瞼下垂や複視などの眼の症状に加え、感情に即した表情の変化が出来なくなることや、咀嚼・発語・嚥下における障害を呈したり、全身の筋力低下や息切れが認められます。さらに、強い疲労感により、日常生活を送ることが困難になる場合もあります。

エンスプリングは、インターロイキン-6(IL-6)をターゲットとするpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体です。中外製薬が独自で開発したリサイクリング抗体技術を適用した初めての薬剤であり、従来より持続的なIL-6阻害と4週ごとの皮下投与を可能にしています。

第III相LUMINESCE試験は、成人および12歳以上の青年全身型重症筋無力症(gMG)患者さん188名を対象にエンスプリングの有効性および安全性をプラセボと比較する多施設共同ランダム化グローバル第III相試験です。今回の試験では、主要評価項目においてである抗AChR血清陽性の集団における24週時点の重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)総スコアにおいて統計的有意差が確認されましたが、想定を下回る結果でした。全身型重症筋無力症(gMG)に対するエンスプリングの忍容性は良好で、安全性プロファイルにおいては、エンスプリングの1つ目の適応症である視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と同様でした。

中外製薬株式会社は「当社はロシュ社と協働し、自己免疫性脳炎(AIE)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質関連疾患(MOGAD)、甲状腺眼症(TED)など、インターロイキン-6(IL-6)シグナル伝達の阻害によりベネフィットが得られる可能性のある神経免疫疾患および炎症性疾患に対して、引き続きエンスプリングの開発に取り組んでまいります」と述べています。

なお、本試験結果の詳細は、米国デンバーで開催されるAmerican Academy of Neurology(AAN)024年次総会において、4月15日にEmerging Science abstractとして講演発表が予定されています。

出典
中外製薬株式会社 プレスリリース

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