ムコ多糖症II型治療剤 イズカーゴ点滴静注用10mg、保険医が投与できる注射薬の対象薬剤へ追加
JCRファーマ株式会社は5月23日、ムコ多糖症II型(ハンター症候群)治療剤「イズカーゴ点滴静注用10mg」(一般名:パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)、以下イズカーゴ)について、「保険医が投与することができる注射薬」の対象薬剤に追加されたと発表しました。
ムコ多糖症II型(ハンター症候群)は、ライソゾーム病の一種であり、遺伝子異常により全身の細胞においてライソゾーム内の特定の加水分解酵素(イズロン酸-2-スルファターゼ)が欠損または機能低下を引き起こすことでムコ多糖が過剰蓄積するX染色体連鎖劣性遺伝性疾患です。主な症状は、関節拘縮や骨変形、肝臓・脾臓の肥大、呼吸障害、弁膜疾患などと幅広く、特に中枢神経症状の進行抑制が課題となっています。
今回、厚生労働省より「保険医が投与することができる注射薬」にイズカーゴ点滴静注用10mgが定められ、令和5年5月24日より適用となります。適用開始後は、在宅医療にてイズカーゴ点滴静注用10mgの投与が可能になります。なお、今回の追加の背景には、日本ムコ多糖症患者家族の会および日本先天代謝異常学会から厚生労働省へ対象薬剤への追加に関する要望書が提出されていました。
ムコ多糖症II型を含むライソゾーム病の患者さんは、通常、1~2週間に1回、1~4時間程度の時間を要する点滴静注を一生涯続ける必要があり、定期的に通院しなければならないため、患者さんには大きく負担がかかっていました。今回、対象薬剤に追加され、在宅投与が可能になることで、患者さんの通院による負担が減り、QOL(生活の質)の向上が期待できます。