先天性中枢性低換気症候群患者さんの日中における低換気、体外式横隔膜ペースメーカーの植込みで改善
USCIジャパン株式会社は6月17日、昨年12月に行われた国内初となる先天性中枢性低換気症候群(CCHS)の患者さんに対する体外式横隔膜ペースメーカーの植込み手術について、術後6か月経過時点において日中における低換気が改善され、正常な換気状態で過ごすことができるようになったと発表しました。
先天性中枢性低換気症候群(CCHS)は、呼吸中枢の先天的な障害によって低換気をきたす疾患です。その診断は、PHOX2Bという遺伝子の変異を確認することで確定されます。典型例では新生児期に発症して主に睡眠時に、重症例では覚醒時にも低換気をきたします。
原因は呼吸中枢の化学性調節の異常にあり、高二酸化炭素血症や低酸素血症に対して換気応答が生じないため、低換気を呈すると考えられています。呼吸中枢の障害に対する有効な治療がないため、人工呼吸管理が必須であり、いかに低換気による低酸素血症、高二酸化炭素血症を防ぐかが重要とされています。
国内初となる先天性中枢性低換気症候群(CCHS)患者さんに対する体外式横隔膜ペーシング植込み手術は2020年12月に行われました。術後の呼吸管理は東京女子医科大学東医療センター周産期新生児診療部・新生児科の山田洋輔先生により順調に実施され、患者さんは無事退院したとのことです。
山田先生はプレスリリースにて、「横隔膜ペーシング治療は、人工呼吸器に依存される患者様の横隔膜を電気によって刺激を行い、呼吸補助を行う新しい治療」とコメント。また、「今回植え込まれた患者様も覚醒時に低換気がありましたが、従来の在宅人工呼吸器では外出中や室内でも活動中は呼吸器装着が困難であり、治療したくてもできない、という状況でした。そういった、意識があるのに呼吸をうまく行えない症状の改善を目指し横隔膜ペーシングを導入いたしました。その結果、患者様の昼間の呼吸が改善され、正常な換気状態で過ごすことができるようになりました」と述べています。
併せてUSCIジャパンは、「今後、本邦でのさらなる導入にあたり、様々な医療機関様と連携し、人工呼吸器に依存して生活されている多くの患者様、そして介護者様への貢献となるよう横隔膜ペーシング治療の安全な普及を進めて参ります」としています。