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筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対するロピニロールの安全性と有効性、医師主導治験で確認

慶應義塾大学病院は5月20日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんを対象にロピニロール塩酸塩(ロピニロール) を投与する医師主導治験(臨床試験)を行った結果、同剤の安全性と有効性を明らかにしたと発表しました。この研究成果は、同院神経内科診療科部長の中原仁教授、同医学部生理学教室の岡野栄之教授、髙橋愼一特任教授、森本悟特任講師らの研究グループによるものです。

慶應義塾大学医学部生理学教室は、2016年にヒトiPS細胞を用いたヒト脊髄運動ニューロンの作製と治療薬の探索を目的とした実験手法を開発しました。この手法を用いて、既に薬として使用されている1232種類の化合物の中からALSの病態改善が期待できる候補化合物を選出。その結果、パーキンソン病治療薬として承認・販売されているロピニロールという既存の薬剤をALS治療候補薬として同定していました。

今回の臨床試験では、ロピニロールを最終的に16mg内服することで、1年間の試験期間で、病気の進行を約7カ月(27.9週間)遅らせる可能性があることが判明。また、家族性ALSの患者さん(一部の遺伝子異常を除く)のみならず、ALSの大多数を占める孤発性ALS患者さんの約70%にも効果がある可能性が示されたそうです。

画像はリリースより

今回、ALS患者さんに対するロピニロールの安全性と効果が同試験によって確認されたことで、iPS細胞創薬によって既存薬以上の臨床的疾患進行抑制効果をもたらしうる薬剤の同定に世界で初めて成功しました。研究グループはプレスリリースで、「今後一日でも早く、この難病中の難病に苦しまれているALS患者さんに治療の選択肢を届けられるよう、本研究グループは引き続き尽力して参ります」と述べています。

出典元
慶応義塾大学 プレスリリース

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