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二次進行型多発性硬化症の診療バイオマーカーを発見

国立精神・神経医療研究センター神経研究所をはじめとする研究グループは進行期の多発性硬化症の診断に重要な血中のバイオマーカーを発見したと報告しました。二次進行型多発性硬化症は臨床的な評価が必要で診断の遅れなどの課題がありました。本研究成果は二次進行型多発性硬化症の診断能力の向上に加え多発性硬化症患者の予後向上にも寄与すると期待されています。

多発性硬化症は本来病原体やウイルスなどの外敵から身を守るはずの免疫機能が、何らかの理由で自分自身の中枢神経系を攻撃し始めることで発症する自己免疫疾患の1つです。多発性硬化症患者の約20~50%は再発緩解型(RRMS)を経験し、そのうちの一部の患者が二次進行型(SPMS)へ進行します。進行したSPMS患者は脳萎縮が見られ、歩行障害や高次脳機能障害などが症状としてあらわれます。SPMSの診断は臨床的評価により行われますが診断が難しく、診断するまでに数年間を要します。そこで本研究グループはSPMSの病態を反映するバイオマーカーの探索を試みました。

研究グループは過去にSPMSの病態を反映した疾患モデルマウスを作製し、エオメス養成ヘルパーT細胞が病原性細胞であると明らかにしました。そこでRRMSやSPMS、一時進行型MS(PPMS)を含む大規模なヒト患者でエオメス陽性ヘルパーT細胞を解析し、SPMS患者のEomes頻度は他の疾患群よりも有意に高いことが示されました。さらにMRI画像の解析によりSPMS患者の灰白質の萎縮および重症度もEomes頻度と関連していました。本研究によりSPMSの病態進行と血液中のEomes頻度頻度の相関が示されたことから、SPMS病態をモニタリング可能な血中バイオマーカーとして有用であると示唆されました。

出典元
国立精神・神経医療研究センター

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