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日本国内の重症ミトコンドリア病の出生前診断の現状を報告

千葉県こども病院遺伝診療センターをはじめとする研究グループは、日本国内における新生児期および乳幼児期に発症する重症ミトコンドリア病に関する出生前診断の現状を初めて報告しました。今回の報告により遺伝子診断の整備のみならず、ミトコンドリア病の新たな病態解明や治療法開発に繋がると期待されています。

ミトコンドリアは細胞の中にあり、酸素を使ってエネルギーを産生している細胞小器官です。ミトコンドリアは全身の細胞にあるため、全身に広く多様な症状が出ます。千葉県こども病院をはじめ埼玉医科大学、順天堂大学は2007年からミトコンドリア病の遺伝子診断を、2015年から診療基盤構築を進めてきました。日本国内においてはこれまで、一部のミトコンドリア病について着床前診断が行われるに留まっていました。さらに、近年の遺伝子解析技術向上により今後は出生前診断を希望する家族が増えていくことが予想されます。出生前診断時の適切な情報提供のため、遺伝カウンセリングや遺伝医療提供に向け本書がまとめられました。

本書の執筆にあたっては新生児期および乳児期発症の重症ミトコンドリア病と診断されている患者の家族のうち、出生前診断を希望した13家族が対象となりました。このうち16妊娠について絨毛検査/羊水検査による診断を行いました。出生前診断の結果16例のうち5例はどちらかの両親と同じく常染色体劣性遺伝の保因者であり、2例は原因遺伝子変異が確認されませんでした。8例は疾患を発症した家族と同じ遺伝子型を持っており、重篤なミトコンドリア病を発症する可能性が高いことが示唆されました。本研究は新生児期・乳児期発症の重症ミトコンドリア病を対象とした出生前診断に関する国内初の報告です。

出典元
千葉県こども病院 プレスリリース

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