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アジア人の解析により全身性エリテマトーデスの発症に関わる遺伝子座を同定

理化学研究所をはじめとする研究グループは、日本。中国・韓国のアジア人20万人以上の遺伝情報を解析し、全身性エリテマトーデス(SLE 指定難病49)の発症に関わるとされる遺伝子座を46カ所同定しました。このうち2カ所はアジア人に特有であることがわかり、それぞれの患者に対応した治療法の開発にも繋がると期待されています。

全身性エリテマトーデス(SLE)はウイルスや病原体などの外敵から身を守るための免疫機能が何らかの理由で自分自身を攻撃してしまい、皮膚や関節、全身の臓器に炎症性の症状がみられる自己免疫疾患です。日本国内には約6万人の患者がいると推定されていますが、診断の付いていない方も含めると実際の患者数はより多いと考えられています。これまでにもSLE患者の遺伝子を解析する研究がいくつか行われており、SLEの発症に関わる疾患感受性領域(遺伝子座)が111カ所同定されていました。SLEはアジアでの発症が多いにもかかわらず、これまでに行われている遺伝子解析はヨーロッパ人を対象としたものであり、アジア人特有の遺伝子座の検討は不十分でした。

本研究グループは新たに収集したSLE患者1,177人を含む、全2,535人の患者情報と対照群として14万5777人の情報を用いてゲノムワイド関連解析の結果をメタ解析しました。さらにこの結果に、中国や韓国の研究グループが行ったゲノムワイド関連解析の結果を統合し、SLE患者1万3377人の遺伝子情報を含むアジア人集団のメタ解析を行いました。結果として、SLEの発症に関わるとされる遺伝子座を113カ所特定しました。さらにそのうちの46カ所は新しい遺伝子座であることが明らかになりました。これらアジア人の結果と、ヨーロッパ人に遺伝子情報を比較することでアジア人特有の遺伝子座が2カ所特定されました。

出典元
理化学研究所 研究成果(プレスリリース)

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