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DNAの複製ストレスからゲノムを守る機構を解明

九州大学の研究グループはDNAの複製が難しい領域を複製する際のストレスに対し、DNAの損傷応答を活性化してDNAの修復を促す経路の存在を明らかにしました。この経路にはファンコニ貧血(指定難病 285)と関連のあるSLX4とXPFの2遺伝子が関与していました。

ヒトのゲノムは約30億塩基対あると推定されており、ゲノムDNAは細胞分裂に伴って複製されます。テロメアやセントロメアはゲノムの複製が困難な領域としてしられ、内因性の複製ストレスとされます。これまで多くの研究で扱われてきた複製ストレスは、紫外線や化学物質など外因性の複製ストレスが中心でした。そこで本研究グループは大腸菌由来の転写因子領域とタンパク質の結合を応用し、「強固なDNA-タンパク質複合体」をヒト染色体上の複製障害物モデルとして構築しました。強固なDNA-タンパク質複合体は内因性の複製ストレスの一つとして知られます。このモデルを用いて解析した結果、指定難病であるファンコニ貧血に関与しているとされる2種の遺伝子SLX4とXPFを介した経路が複製ストレスの応答経路が見つかりました。本研究の結果は、がん遺伝子による複製ストレスに来する応答の解明にも繋がると期待されています。

ファンコニ貧血は染色体の脆弱性が特徴的な遺伝性の希少疾患で、薬剤や放射線の暴露により染色体が切れやすい病気です。白血病や固形がん、再生不良性貧血などを合併しやすく、手足の骨格異常や内臓の奇形を伴います。身体的な異常に対しては外科的治療が行われ、血液の異常に対しては輸血やホルモン投与などが行われます。染色体の脆弱性があるため、抗がん剤や放射線の副作用が重症化しやすく注意が必要です。

出典元
九州大学 研究成果

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