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22q11.2欠失症候群患者にみられる脳内分子病態の一部を解明

名古屋大学の研究グループは22q11.2欠失症候群(指定難病203)について、中脳ドーパミン神経細胞におけるPERK依存的な脆弱性を見出したと発表しました。22q11.2欠失症候群は知的能力障害や統合失調症、自閉スペクトラム症など様々な精神・神経症状がみられる疾患です。

22q11.2欠失症候群は多くの患者で先天性心疾患を合併し、脳や他の複数の臓器でも障害がみられる疾患です。患者の書くライフステージにおいて複数の臓器障害や知的能力障害、注意欠陥・多動、統合失調症など様々な精神・神経疾患を発症します。また、若年性パーキンソン病を発症することもあります。患者の脳内を直接細胞レベルで調べる方法がなく、これまで疾患の理解は進んでいませんでした。22q11.2欠失症候群患者は多様な症状が現れることが知られているにも関わらず、患者脳内では何が起こっているのか不明であり、患者にその後起こりうる症状を予防し、また進行を止める方法がありません。

研究グループは健常者と22q11.2欠失症候群患者由来のiPS細胞よりドーパミン神経を作製し、それぞれの違いを観察しました。その結果、22q11.2欠失症候群患者では小胞体の機能維持に関わるタンパク質の発現が低下していたことから、小胞体ストレスに対する応答に異常が生じている可能性が示唆されました。そこで小胞体ストレスの応答に関わる因子に注目して解析したところ、PRKR-Like Endoplasmic Reticulum Kinase(PERK)というタンパク質の発現と、それ以降のシグナル活性が低下していました。さらに、F-アクチン動態の異常や小胞体-ミトコンドリアの接触低下、タンパク質の合成低下など、精神・神経疾患の病態を反映するような異常が認められました。

出典元
名古屋大学 プレスリリース

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