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遺伝データに基づく炎症性腸疾患の血栓症リスク予測が可能に

東北大学は炎症性腸疾患患者を対象に遺伝データを用いて静脈血栓症のリスク予測を行った結果、炎症性腸疾患患者の約15%で遺伝的に静脈血栓症リスクが高いことを示しました。また、遺伝的に高リスク群の患者は低リスク群と比較して静脈血栓症の発症リスクが約8倍以上高いことが明らかになりました。

炎症性腸疾患は小腸や大腸をはじめとする腸管に炎症が持続的に起こる疾患です。以前より健常者と比較して静脈血栓症発症のリスクが3倍以上高いことが知られており、静脈血栓症はいくつかある合併症の中でも特に死因の高い疾患です。また、近年承認を受けた炎症性腸疾患治療薬であるヤヌスキナーゼ阻害薬の副作用には重篤な血栓症があります。これまでにも血栓症の発症リスクとなり得る遺伝子の同定が試みられてきましたが、血栓症に関わる遺伝子は複数存在するため正確なリスク遺伝子の同定は困難でした。

本研究グループは約800人分の炎症性腸疾患患者の遺伝データを用いて解析を行い、静脈血栓症への遺伝的リスクの頻度とその影響の大きさを示しました。解析の結果、約15%の患者が遺伝的に静脈血栓症リスクが高く、さらに高い遺伝的リスクを持つ患者は遺伝的リスクのない患者と比較して約2.5倍発症リスクが高いことが明らかになりました。さらに、遺伝的に高リスクである患者は低リスクの患者と比較して静脈血栓症の発症リスクが約8倍高いことが示されました。今回明らかになった遺伝リスクによる影響は、疾患活動性や薬剤などとは無関係でした。

出典元
東北大 プレスリリース

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