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肺線維症マウスの肺線維化軽減に成功

順天堂大学大学院の研究グループらは2020年9月18日に、ヒトの皮下脂肪組織から分離した「CD73陽性細胞」がマウスの肺線維化を軽減することを発表しました。この研究結果により、免疫寛容の誘導を利用した肺線維症の新しい治療法開発にも繋がると期待されます。

背景-肺の壁が固く線維化する呼吸器疾患

肺線維症は免疫の異常や薬の副作用など、さまざまな原因により炎症が起こる疾患で、肺の壁が固く線維化してしまい酸素が取り込まれにくくなる病気です。根治的な治療法はまだないため、免疫寛容を誘導する細胞の移植による治療法の開発が進められきました。免疫寛容とは特定の抗原に対して免疫反応を示さないような状態を指します。過去の研究で、免疫寛容の能力が高い「CD73陽性細胞」が発見されています。そこで、CD73陽性細胞の特性を明らかにするために、体の中でのCD73陽性細胞の分布を調べ、さらに肺線維症モデルマウスへ移植し有効性を検討しました。

結果-CD73陽性細胞の有効性を確認

ヒト皮下脂肪、内臓脂肪、胎盤の各組織からCD73を発現している細胞のみを分離しました。その結果、皮下脂肪には高い増殖力のあるCD73陽性細胞が多く含まれていました。さらに、他の組織のCD73陽性細胞に比べて、増殖しても細胞の性質が変化しにくいことも分かりました。移植する際には細胞を増殖させる必要があることから、皮下脂肪由来のCD73陽性細胞が適切であると示唆されました。肺線維症のモデルマウスに皮下脂肪由来のCD73陽性細胞を投与したところ肺の線維化が軽減され、炎症に関わるマクロファージの数が減少していました。本研究結果よりCD37陽性細胞は線維化状態の肺に投与すると免疫寛容を誘導し、繊維かを抑制することが明らかになりました。

出典元
順天堂NEWS プレスリリース大学・大学院

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