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全身の皮膚が硬くなる希少な疾患と新たな治療選択肢

全身性強皮症は国の定める指定難病のひとつであり、皮膚や臓器が徐々に硬くなります。国内には20,000~30,000人程度の患者がいると推定され、女性が約9割を占めます。患部や症状、進行の速さは患者によってそれぞれ大きく異なるため、一人一人に合わせたケアをすることが大切です。

全身性強皮症は膠原病に分類される疾患で、以前は全身性硬化症や汎発性強皮症などとも呼ばれていました。膠原病は細胞と細胞を繋ぐ、コラーゲンなどの膠原線維に異常が起こる疾患の総称です。コラーゲンを産生する働きを持つ線維芽細胞が、過剰にコラーゲンを作りだすことによって組織が徐々に硬くなっていきます。これを線維化と呼びます。

全身性強皮症は皮膚のうち真皮層が厚みを増し、硬化する特徴があります。主な症状として手足の指に起こるレイノー現象や潰瘍がみられます。肺の線維化により組織が硬くなると、肺がうまく膨らまずに息切れや呼吸不全にも繋がります。心臓の組織に線維化が起こると心不全を引き起こすこともあります。過去の調査より、初期症状がみられてから診断までに平均で約3年を要し、3つの病院にかかっていることがわかりました。レイノー現象などの初期症状を見逃さず早期治療を開始することが大切です。

ニンテダニブ(一般名オフェブ)は2019年12月20日に、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患を適応症として製造販売承認を取得しました。さらに2020年5月29日には進行性線維化を伴う間質性肺疾患を適応症とした製造販売承認を取得しました。オフェブは、組織の線維化により肺が硬くなるのを抑える薬です。何らかの異常により線維芽細胞がコラーゲンを過剰に産生することで線維化が進みますが、オフェブは線維芽細胞にあるスイッチをオフにすることで、細胞の作り出すコラーゲンの量を減らすことで線維化を抑えると考えられています。これにより、肺の線維化を抑えて病気の進行を遅らせることが期待されます。

全身性強皮症に関する総合情報サイト わかる、つながる、強皮症

日本ベーリンガーインゲルハイム 、国内におけるオフェブ®カプセルの全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対する適応追加承認取得

日本ベーリンガーインゲルハイム、国内におけるオフェブ®カプセルの進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対する適応追加の承認取得 ―日本初の進行性線維化を伴うILDの治療薬―

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