赤芽球性プロトポルフィリン症およびX連鎖性プロトポルフィリン症に対する新規治療薬の第Ⅲ相臨床試験開始
田辺三菱製薬株式会社は、米国の開発子会社が光線過敏症の既往のある赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)およびX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)の青年期から成人の患者を対象にした、治験薬の第Ⅲ相臨床試験を開始したことを発表しました。今回の治験薬は、日光下においても痛みを感じずに活動できる時間を延ばすことを目的に開発が進められています。先んじて行われた第Ⅱ相試験(ENDEAVOR試験)では、日光を浴びた際に「最初に前駆症状がみられるまでの時間」がプラセボ群と比較し有意に延長されたことが示されています。
今回の治験薬として用いられるMT-7117(一般名dersimelagon)は、新規に合成された非ペプチド性低分子より構成される経口投与可能な薬剤です。紫外線からの皮膚保護や色素沈着に関与していると考えられているメラノコルチン1受容体(MC1R)の働きを活性化させる効果が期待されており、EPPおよびXLP患者の光線過敏症の予防に対し有効性が可能性があります。また、MT-7117は2018年6月に米国食品医薬品局(FDA)より、医薬品の必要度に応じて優先的に審査が進められる制度であるファストトラック指定を受けています。
ポルフィリン症は、血液中のヘモグロビンを作る際に副産物として作られるポルフィリン体が上手に分解されず体の中に溜まっていく疾患です。発症の原因となる遺伝子の違いや症状の違いによって9つの型に大別されます。EPPおよびXLPは皮膚の光過敏症がみられ、皮膚が日光に当たると10分程度で刺すような、または焼けるような感覚を伴う「前駆症状」がみられます。さらに長時間日光を浴びることでその後数日にわたり疼痛が現れることがあり、日常生活に大きな影響を与えます。