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ウィリアムズ症候群における多様な症状の原因解明の手がかりへ

京都大学医学研究科 木村亮助教らの研究グループは、ウィリアムズ症候群(指定難病179)患者と健常者のDNAの状態を比較し、ウィリアムズ症候群の患者では神経の発生や発達にかかわる遺伝子がメチル化と呼ばれる修飾を受けている程度が高くなっていることを発表しました。DNAがメチル化されることで、遺伝子の働きが抑えられることが知られています。こうした結果は、ウィリアムズ症候群にみられる多種多様な症状の原因を解き明かす手掛かりになると考えられます。

ウィリアムズ症候群は、約1~2万人に1人の割合で見られる希少疾患です。7番目の染色体のうち一部が欠けることで発症すると考えられており、妖精の様な特徴的な顔つき、高い社交性、空間認知障害、心血管障害、発達の遅れなど多様な症状が見られることが特徴です。さらに症状の度合いにも個人差があり、その原因は明らかになっていませんでした。

遺伝子の働きを調節する修飾

生物が持つ、一連のDNA配列1セットをゲノムと呼びます。このゲノム情報に対し、遺伝子発現の程度を調整するためにDNA配列に加えられた修飾をエピゲノムと呼びます。このエピゲノムのうち、特にメチル化という修飾は、統合失調症や自閉症スペクトラムなど神経発達障害に関わっていることが知られています。本研究では、このDNAのメチル化とウィリアムズ症候群の症状の関連について調べました。

DNAメチル化と症状の関連

研究の結果、健常者と比較してウィリアムズ症候群の患者ではDNAの約380カ所
でメチル化の程度に差が見られました。また、それぞれのメチル化の位置によってグループ分けをしたところ、ウィリアムズ症候群の患者では特に神経の発生や発達に関する遺伝子がメチル化を受けていることが明らかになりました。こうした一連の結果から、DNAのメチル化がウィリアムズ症候群の病態にかかわっていることが明らかになりました。ウィリアムズ症候群のように、一対の染色体のうち一方のある部分が欠けることによって発症する疾患は他にもあります。今回の研究結果は、このような他の疾患に対しても病態解明に繋がる可能性が期待されます。

出典元
京都大学 研究成果

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