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ハンチントン病 根本的治療へ期待

大阪大学 大学院医学系研究科の中森雅之特任講師らの研究グループは、これまでに根本的治療法が開発されていなかった神経難病である、ハンチントン病の遺伝子異常を是正する低分子化合物を発見したことを発表しました。これは、ハンチントン病の原因となる塩基繰り返し配列の異常伸長を短縮させる方法として、世界で初めての報告です。

今回の発表にあたり、研究チームは以下のようにコメントしています。

核酸を標的とする低分子創薬は日本が世界に先行する分野であり、今後製薬企業も一体となって神経難病などに対する治療開発が進むことを期待しています。

http://www.med.osaka-u.ac.jp/activities/results/2020year/nakamori-mochizuki202002

ハンチントン病は自分の意思に反した不随意運動(舞踏運動)を特徴的な症状とし、その他に精神症状、行動異常、認知障害などがみられる神経変性疾患です。国内の調査では10万人あたり0.7人の患者さんがいると推定されています。発症に男女差はほとんどなく、30歳くらいで発病する患者さんが多いとされています。また、常染色体優性遺伝をとることが明らかになっています。

ハンチントン病は、遺伝子上の塩基配列においてCAGという3つの塩基が繰り返している部分が、異常に長くなることが原因で発症するとされています。また、このCAG配列の繰り返しが長ければ長いほど症状が重くなることが知られています。
産業科学研究所の中谷和彦教授らにより創製された核酸標的低分子化合物 ナフチリジンアザキノロン(NA)は、CAG配列が繰り返す部分が形成する特徴的なDNA構造に結合し、異常に伸びたCAG配列を短縮させる作用があることを見出しました。

塩基配列の繰り返しが異常に伸長することが原因となる、脊髄小脳失調症や強直性筋ジストロフィーなどの疾患への応用も期待されます。

出典元
大阪大学医学部 研究成果

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