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一歩ずつ進む私の日々|田中さん:脊髄小脳変性症(SCD)

今回は、小脳の萎縮によって徐々に身体の動きに障害が現れる、脊髄小脳変性症(SCD)の田中さんのお話を伺いました。

これまでの経緯

  • 2020年 重い物を持てなくなり、歩きづらくなる
  • 2024年 脊髄小脳変性症(SCD)診断
  • 2025年 就労移行支援で人を頼ること、相談する大切さに気づく

ゆっくりでも、前を向いて歩きたい

脊髄小脳変性症(SCD)という難病と向き合いながら子育てに奮闘しています。

診断を受けたのは2024年と最近ですが、実はそのずっと前から不調は始まっていました。

今は歩行が難しく、移動は押し車を使っています。

それでも、子どもと一緒に笑いながら過ごす日常には、たくさんの希望が詰まっています。

病歴の概要

2020年から重い物を持てなくなり、歩行にも違和感を覚え始めました。

当時は明確な病名がわからず、ただ「体調が悪い」としか言えない日々が続きました。

2024年7月、ついに「脊髄小脳変性症(SCD)」と診断されました。

MRIやCT、血液検査などを経ての診断でした。

母も同じ病気だったことから、遺伝性の可能性があるかもしれません。

脊髄小脳変性症(SCD)とは?

脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳や脊髄の神経細胞が徐々に失われていく病気で、「運動失調」という症状が進行するのが特徴です。

歩くときにふらついたり、ろれつが回らなくなったり、手が震えたりといった症状が出ます。

日本では指定難病に認定されており、遺伝性と孤発性のタイプに分かれます。

現在の医学では根本的な治療法はありませんが、薬で進行を遅らせる治療が行われています。

病気とともにある生活

私が最初に「なんかおかしいな」と思ったのは、アルバイト中にお皿がうまく持てなかったときです。

もともと力仕事が得意ではなかったけれど、その日は特に違和感がありました。

しばらくして、歩くときに足がもつれるようになってきて…今では押し車がないと外出が難しくなっています。

歩くだけで疲れてしまうし、人混みも本当にしんどい。

でも、周りからは元気そうに見えるから「大丈夫でしょ?」って言われることもあります。

正直、それが一番つらかったりします。

病気が進行するかもしれないという不安は、毎日心の中にあります。

それでも薬を飲んでいることで、なんとか今の状態を保てているのが救いです。

「1リットルの涙」と同じ病気だと聞いて、ドラマのような最悪の未来をつい想像してしまうこともあります。

子育てと向き合う日々

私には子どもが一人いて、今は小学生です。

6年前はまだ1歳で、当時は普通に育児を楽しんでいました。

6歳くらいまではなんとか普通に動けていたけれど、最近では体力的に限界を感じることが多くなってきました。

でも、子どもは容赦ないんですよね(笑)。

「遊んで遊んで」って攻撃してくるし、苦手な折り紙やハサミの作業も頼んできます。

正直、しんどいときもあるけれど、「病気でもお母さんであることは変わらない」と思っています。

子どもにとっては、私が病気かどうかなんて関係ないんです。

ただ「お母さんと遊びたい」「お母さんに甘えたい」って思ってくれるからこそ、私も頑張れるんです。

就労支援と仕事への思い

最近、就労支援という仕組みを知って、少しずつ頼るようになりました。

それまでは「迷惑をかけたくない」と思っていたけれど、誰かに頼ることで新しい可能性が見えてきた気がします。

仕事は今の私にとって、大きな挑戦です。

通勤が難しいので在宅でできることを模索しています。

パソコンを使った仕事なら、体への負担も少なくて済むので、これからはそういったスキルを身につけていきたいと思っています。

一人では難しいことも、支え合える仲間がいれば前に進める。

そんな実感を、就労支援を通して学んでいます。

人と話せる環境が就労移行支援のいいところです!

同じ難病の方がいると相談もできますし、励まされます。

これからの目標

今の私の一番の目標は、「子どもを一人前に育てること」です。

病気があっても、できる限りのことをしたい。

少しでも長く一緒に笑っていられる時間を増やしたい。

将来が不安じゃないと言えば嘘になります。

でも、私は医療の進歩に希望を持っています。

仕事をして落ち着いた娘との生活が目標ですし、高校生からやっていた吹奏楽団に戻りたい、という目標もあります!

目標はたくさんです。

今はまだゆっくりしか歩けないけれど、心の中では「走って」います。

これからも、支え合う人たちと一緒に、一歩ずつ前へ進んでいきたいと思います。

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