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芝居に生きる情熱と共に|桑名さん:強直性脊椎炎(AS)

腰の違和感から始まり、10年近くを経て「強直性脊椎炎(AS)」と診断された桑名さん。現在も俳優として芝居を続けながら、自らの体と向き合う日々を送っています。病気とともに生きる彼の姿には、前向きに人生を歩むためのヒントが詰まっています。

病歴の概要

  • 2010年 腰に違和感を覚える。椎間板ヘルニアと診断される
  • 2012年 股関節にも痛みが出て受診、股関節裂傷と診断
  • 2019年 整形外科にて強直性脊椎炎(AS)と診断を受ける

強直性脊椎炎(AS)とは?

強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)は、主に背骨や骨盤周辺の関節に炎症が起き、次第に骨が硬くなる自己免疫性の慢性疾患です。

進行すると背骨が硬直し、姿勢が曲がったまま固定されてしまうこともあります。

原因は明確にわかっていませんが、遺伝や免疫異常が関係していると考えられています。

主な症状は、腰や背中の慢性的な痛み、朝のこわばり、疲れやすさなど。

進行を遅らせるためには、早期診断と適切な治療が大切です。

「最初はただの腰痛だと思っていた」病気との気づきと向き合い

最初に異変を感じたのは2010年ごろでした。

腰に違和感があり、椎間板ヘルニアと診断されました。

その後、演劇のアクションでさらに悪化してしまったんです。

2012年には股関節にも痛みが出て、病院で診てもらいましたが、
そのときは股関節裂傷と言われて経過観察になりました。

正直、「まあ腰痛だし…」というくらいの認識でした。

痛みはあったけど、トイレで清拭ができないくらいの不便さしかなかったので、
あまり深刻には考えていませんでした。

でも、2019年になってようやく整形外科で強直性脊椎炎(AS)と診断されました。

そのときは「やっぱり変だったんだな」と、納得に近い感情でしたね。

生活の中でできることを工夫しながら

今は、腰をそらすことができず、長時間立ちっぱなしが難しいです。

でも痛み自体は以前に比べてだいぶ落ち着いています。

発症当時はいつも痛みが最大レベルで、本当に辛かったです。

今は痛みが引いた分、生活もある程度コントロールできています。

日々の生活では、体調に応じて無理をしないようにしています。

たとえばウォーキングマシンを使ったり、けん引器具を使ったり、
体に負担の少ない運動を意識的に取り入れています。

移動や食事もほとんど困ることはなく、無理をすれば走ることだって可能です。

「やりすぎない」働き方で、自分らしく生きる

病気がわかってから、働き方にも大きな変化がありました。

以前は無理して働いていたけれど、それで結局病気になってしまいました。

だから今は、自分ができる範囲をしっかりと理解しながら、複数の仕事をこなしています。

「ここまでならできる」とわかったおかげで、自分の好きな仕事に集中できるようになりました。

また、「なんでも引き受ける」のではなく、まず目的を聞くようにしています。

そうすることで、仕事を無理なく効率的にこなせるようになりました。

病院のシステムエンジニアという職場環境もあって、
病気のことを説明するとすぐに理解してもらえるのは本当にありがたいと感じています。

家族と芝居、そして自分自身を支える力

最大のやりがいは、やっぱり子どもの存在です。

運動会にちゃんと参加できるかなとか、今後の体の変化について不安がないわけではないけど、
それでも前向きにいられるのは家族の支えがあるからです。

そして、もうひとつの生きがいはお芝居。

俳優としてもう18年間も続けています。

お芝居はやってよかったと思える活動で、今でも現役で取り組んでいます。

これからの目標と、伝えたいこと

今後は、今やっている仕事を法人化したいと考えています。

自分はサラリーマンには向いていないと思っていて、個人事業主としてのスタイルが合っていると感じています。

病気を通して伝えたいのは、「しんどい時こそ、病院にしっかり通ったほうがいい」ということです。

自分は腰痛だったので整形外科しか行かなかったけど、いろんな専門科に相談することも大切だと思っています。

難病という言葉に距離を感じるかもしれませんが、もっとオープンに話せる場や雰囲気が社会にあればと思います。

「難病」だからこそ、知ってもらうことが何より大切です。

そのきっかけを、メディアやインタビューが作ってくれたら嬉しいです。

自分自身も、そういった場を作っていけたらと考えています。

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