1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 障害当事者にとってのロールモデルになる。赤石理人さん|脊髄性筋萎縮症(SMA)

障害当事者にとってのロールモデルになる。赤石理人さん|脊髄性筋萎縮症(SMA)

今回は、10万人に1人が発症する難病「脊髄性筋萎縮症」(SMA、指定難病3)を持つ赤石理人さんにインタビューをさせていただきました。

これまでの経緯

  • 2001年 2歳のときに脊髄性筋萎縮症(II型)と診断
  • 2008年 8歳のときに、介護負担の軽減による長期療養生活(入院生活)の開始
  • 2018年 大学進学のため、退院と一人暮らしの開始
  • 2021年 エブリスディ(Evrysdi)の服用を始める
  • 2022年4月 一般社団法人tsunagariに参画する
  • 2022年7月 一般社団法人Ayumiに参画
  • 2024年 「想いをカタチにするライティング」を強みに営業活動を本格化

病気について

脊髄性筋萎縮症(SMA、Spinal Muscular Atrophy)は、主に脊髄の運動ニューロンが変性することによって起こる遺伝性の神経筋疾患です。

これにより、筋肉の萎縮や筋力低下が生じます。

赤石さんは後述のⅡ型に分類されます。

分類:SMAは発症年齢や症状の重症度により、いくつかのタイプに分類されます。
I型:生後6ヶ月以内に発症し、重篤な筋力低下を伴います。
II型:生後6~18ヶ月に発症し、独立して座ることはできるが歩行は困難です。
III型:18ヶ月以降に発症し、歩行が可能ですが、徐々に筋力低下が進行します。
IV型:20代以降に発症し、最も軽度の症状を示します。

参考:難病情報センター
   ノバルティスジャパン

赤石さんは、生まれつき歩くことができず、電動車椅子を使用して日常生活を送っています。

8歳のときには親元を離れ、長期の入院生活を過ごしました。

完治に向かうための治療法はまだ確立されていません。
あくまで病気の進行を抑制するための入院です。

新薬の服用開始

2021年から新薬の服用を始めました。

エブリスディ※1という、脊髄性筋萎縮症(SMA)のための薬です。

この薬を服用し始めてから、体力もつき、1日の活動量も増え、体調を崩しても回復速度が早くなったと感じます。

個人差はあると思いますが、僕は肺活量が600mLから1000mLまであがりました。

※1 参考:With your SMA HOME

人生の転機

入院生活を送っていたある時、赤石さんの人生の転機となる本と出会いました。

その本は、同じ障害を持ちながら、起業されている方の本でした。

当時の障害者の働くイメージは、低賃金で簡易的な仕事というイメージでした。

それが、どうでしょう、本の中では起業までしている。
大きな衝撃を受けました。

その本をきっかけに、「一般社会で働いてみたい」という思いが強くなり、高校卒業と同時に進学し、重度訪問介護サービスを利用した一人暮らしを始めました。

今はわずかに動く右手でPCのマウス操作をし、仕事もしています。

個人事業主を始めたきっかけ

仕事の意欲は高まったものの、大学で就職活動が始まったときに、1人の人間というより、1労働力として人を求めている社会を目の当たりにしてしまいました。

そこで、「自分」を必要としている仕事をしたいと思い、目の前のお客様に対して価値提供できることが目標になりました。

そこで、就職活動をやめて、大学四年生の夏休みからWEBデザインの勉強をスタート。

個人事業主を目指すようになりました。

そして、大学卒業のタイミングで開業します。

しかし、WEBデザインの受注の難しさ、仕事の取り方等、個人事業主の壁にぶつかります。

その時に、X(旧:ツイッター)からつながった一般社団法人tsunagariに参画し、ライターとしての活動を開始します。

その後、一般社団法人Ayumiに参画。
引き続きライター活動を強化しました。

そこで、SEOなどのマーケティングの知識とディレクション(仕事の指導や指示を行うこと)について実績を積むことで、個人事業主としての力をつけていきました。

想いをカタチにする仕事へ

ライターとして人の想いを言語化していく中で「どうやったら、より多くの人へ届けることができるか」と考えるようになりました。

そこで見つけたのが映像制作です。

赤石さんが仕事の中で強化してきたこと。
それは「想いをカタチにする」ということ。

現在は「想いをカタチにする」をテーマにストーリーテリング※を強みとしたライター、映像制作者として活動中です。

※ストーリーテリングとは:https://jinjibu.jp/keyword/detl/317/

※赤石理人さんInstagramアカウント:@m_akaishi1106

車椅子だとインドアのイメージがあるかもしれませんが、現在はオフラインの交流会にも積極的に参加しており、県外にも移動しています。

また営業活動では、飛び込み営業もしています。

飛び込み営業で驚く方もいますが、実は車椅子の方が話を聞いてくれるという強みもあるんです(笑)。

未来への希望

10年間入院生活をしたことで、働きたくても働けない人を沢山見てきました。

しかし、社会で働く方法は沢山あります。
僕自身、わずかに動く右手だけで仕事をしています。

気づいたことは、障害当事者本人たちが諦めてるケースが沢山あるということです。

僕のように、たまたま本を読んで、出会いがあり、仕事ができている場合はレアかもしれません。

でも、情報をキャッチさえできれば全員にチャンスがある。

だからこそ、僕が働くことで、「働ける可能性」を伝えたいと思っています。

あくまで働かないのはあなたの選択。

僕が本を読んでスイッチが入ったように。

そのために、僕はロールモデルになることを決意しました。

昔の自分のように人生の選択肢が限られている人が、未来へ希望が持てるように。

ワクワクしながら挑戦できるように、僕自身が選択肢を広げて行きたいと思います。

関連記事