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きかんきょうさく
気管狭窄tracheal stenosis

小児慢性疾患分類

疾患群3
慢性呼吸器疾患
大分類1
気道狭窄
細分類1
気道狭窄(咽頭狭窄、喉頭狭窄、気管狭窄、気管軟化症、気管支狭窄症・軟化症)

病気・治療解説

概念

小児の気道は上気道(鼻咽頭腔から声門)と狭義の気道(声門下腔、気管、気管支)に大別される。呼吸障害を来し外科的治療の対象となるものは主に狭窄や閉塞症状を来す疾患で、その中でも気管狭窄症が代表的であり、多くが緊急の診断、処置、治療を要する。小児ではほとんどが先天性の狭窄であり、外傷や長期挿管後の後天性のものは比較的まれである。

病因

先天性気管狭窄症は気管軟骨の形成異常のために生じる疾患と考えられ、狭窄部の気管には膜様部が存在せず、気管壁の全周を軟骨がドーナツ様に取り囲んでいる(Complete tracheal ring)。気管支の分岐異常を合併していたり、約半数に先天性心疾患や肺動脈による血管輪症を合併する。
後天性気管狭窄症の原因は鈍的胸部外傷、気管内挿管チューブや気管切開チューブによる損傷、壊死性気管・気管支炎、気道熱傷などである。気管のいずれの部位にも発症する可能性がある。

疫学

数万人に一人のまれな疾患と考えられていたが、診断法の進歩や疾患に対する理解から、以前より多い頻度で発見されるようになった。正確な症例数や発生頻度は明らかではない。

臨床症状

先天性気管狭窄症では生後1〜2ヶ月頃から喘鳴、チアノーゼ発作などの呼吸症状が認められる。上気道感染を契機にして呼吸困難が強くなり、窒息に至ることもある。気管内挿管が試みられ、適切な深さまで気管内チューブが挿入できない事から発見される。また、他の合併奇形が多いため、他疾患の治療に際して全身麻酔のために気管内挿管が試みられ、気管内チューブが挿入できずに気づかれる事も多い。
後天性の狭窄では気管チューブが抜去できない抜去困難症を呈する。

診断

胸部単純撮影(気管条件)、MRI、3DCT、硬性気管支鏡検査ならびに気管支造影により診断される。気管内挿管中の場合は細径ファイバースコープにより診断されることもあるが、病変部の範囲を確定することは困難なことが多い。小児用の気管支鏡検査は診断の確定および狭窄起始部の同定、狭窄の範囲、末梢気管支の状態の検索のために必須である。気管支造影は、造影剤による気管粘膜の腫脹から閉塞症状を来す事があり危険なため、禁忌とする報告もある。最近では血管造影を併用した胸部の3D-CTにて多くの情報が得られるようになった。

治療

1)保存的治療
狭窄の程度が軽く、呼吸症状が軽度な場合、去痰剤、気管支拡張剤、抗生物質の投与にて経過観察する事が可能である。成長とともに狭窄部気管が拡大し、症状が軽減していくとの報告も散見される。

2)外科的治療
外科的治療は先天性も後天性も差異がない。狭窄が気管全長の1/3までの症例では狭窄部を環状に切除し端々吻合することが可能である。それ以上の長さの狭窄では吻合部に緊張がかかり再狭窄の危険性がある。
気管全長の1/3以上におよぶ広範囲の狭窄例に対しては種々の気管形成術が行われている。手術方法としては狭窄部の気管前壁を縦切開し、切開部に自家グラフト(肋軟骨、骨膜、心膜など)を当て、内腔を拡大する方法ある。この手技では、合併症として再狭窄や肉芽形成などが見られ、術後管理に難渋する例も少なくない。これ以外には狭窄部中央の気管を横断した後側々吻合するスライド気管形成(Slide Tracheoplasty)が導入され安定した成績が報告されている。最近では内視鏡下に狭窄部をバルーン拡張したり、その後にステントを留置して拡大を計る方法も試みられている。
上記の治療に抵抗する場合は気管切開をおき、狭窄を超えて留置できる特殊チューブの留置で気道確保が行われる。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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