かぞくせいちちゅうかいねつ家族性地中海熱familial Mediterranean fever
指定難病266
家族性地中海熱
実施中の治験/臨床試験
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病気・治療解説
概要
家族性 地中海熱(Familial Mediterranean fever:FMF)は発作性におこる発熱と腹部、胸部の疼痛や関節の腫れなどの症状が繰り返される遺伝性の病気です。
罹患数
2009年に行われた全国調査では、本邦で約500名の患者さんが存在すると推定されました。
疫学
この病気は地中海沿岸域の人々や、中近東(ユダヤ人、トルコ人・アルメニア人)に多い疾患ですが、日本でも患者さんがいることがわかっています。
原因
家族性 地中海熱はMEFV(familial Mediterranean fever gene)遺伝子と呼ばれる遺伝子の異常が関連しています。この遺伝子は 炎症 をおさえる蛋白質を作る働きがあり、もしこの遺伝子が 変異 をおこしたら、適切に 炎症 を抑える事が出来なくなると考えられています。この病気に関係している分子機構の解明が進んでいるところです。但し、MEFV遺伝子 変異 が認められない場合もあります。
遺伝
遺伝性疾患ですが、遺伝子変異があっても必ず病気になるとは限らず、同じ遺伝子異常を持った兄弟姉妹の間で発病したりしなかったりする場合もあります。
症状
発熱、腹膜炎、胸膜炎、関節炎などの炎症発作が認められます。
発熱:一般的に発熱の持続時間は12~72時間とされ、38℃を超える急激な発熱がみられます。
腹膜炎:家族性地中海熱ではお腹全体から部分的な痛みまでみられますが、一般的に片側に起こることが多いようです。
胸膜炎:一般的に胸部から背中に刺すような痛みを伴いますが、発作の程度により痛み、経過も様々です。胸痛だけでなく息苦しさ、 咳嗽 といった症状も現れます。
関節炎:下肢の関節(足首・膝・股関節など)に症状が現れやすい傾向にあります。主な症状は腫れ、痛み、熱感ですが、関節内に水が溜まったりすることがあります。
治療法
現在、コルヒチンが家族性地中海熱に効果が認められている唯一の内服薬です。
コルヒチンの内服療法は、反復しておこる発作を防ぎ、アミロイドーシスの予防にもなります。しかし、途中で内服を中止すると、発作を起こし、アミロイドーシスになる危険性が高くなりますので内服を継続する必要があります。アミロイドーシスは、腎臓や腸管、皮膚、心臓などの臓器にアミロイドという特殊な蛋白質が沈着する病気で、それが原因で臓器の機能が徐々に低下してきます。
また、家族性地中海熱典型例の患者において、コルヒチンを増量しても無効であったり、副作用のために使用できない場合があります。このような場合に頻回の発熱発作を認めるようであれば、抗IL-1製剤(カナキヌマブ、イラリス®)の導入が検討されます。
経過
コルヒチンの内服を一生きちんとおこなえば、様々な制限をうけることなく、アミロイドーシスを起こさずに、普通の生活を送ることができます。しかし、治療が遅れたり、治療がなされなかったりすれば、アミロイドーシスを起こしやすくなります。
患者さんに知って欲しいこと
発熱発作を起こすきっかけになる誘因とされているものには、精神的ストレス、身体的疲労、月経などが考えられており、過労やストレスを避ける事が推奨されます。
※難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jpより、許可をいただき掲載しております。