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家族性地中海熱の迅速な検査方法を開発

京都大学は免疫機能の活性化に関わるNEFV遺伝子について、変異体をヒトの単球系細胞株で強制発現させると細胞死が誘導されることを発見しました。MEFV遺伝子が過剰に活性化すると家族性地中海熱を含むパイリン関連自己炎症疾患(PAADs)が引き起こされることが知られています。今回確立された検査法を用いてNEFV遺伝子バリアントの病原性が迅速に判別できれば、適切な診断と治療に繋がると期待されます。

パイリンは免疫に重要な因子としてしられ、外敵の侵入に対しセンサーとして機能します。インフラマソームと呼ばれる大きな複合体を形成し、パイリンインフラマソームは活性化すると細胞死を引き起こしたり炎症性サイトカインを放出したりして外敵の排除に働きます。しかし、その働きが過剰になると家族性地中海熱を含むパイリン関連自己炎症疾患(PAADs)の発症に繋がります。MEFV遺伝子はPAADsの原因遺伝子としても知られており近年の研究から様々なバリアントが見つかってきましたが、疾患の発症に関係のあるバリアントと関係ないバリアントが存在することが明らかになってきました。そこで研究グループは迅速にバリアントの病原性を迅速に判断し、適切な診断に繋げることを目的に研究を開始しました。

ヒトの単球系細胞株(THP-1細胞)にMEFV遺伝子を強制発現させ、薬剤によりパイリンを強制的に活性化したところ病原性変異M694V変異は正常のMEFVよりも強く細胞死を誘導していました。また、この細胞死はパイロトーシスと呼ばれるタイプの細胞死でした。これまでに報告のある32種類のMEFV遺伝子バリアントを解析したところ6種のクラスターに分類できることが明らかになりました。今回の検査法は患者の治療状況や病状で左右されるものではなく、遺伝子のバリアントを迅速に判別できるため迅速な診断に役立てられると期待されます。本研究は単一のバリアントで解析していることから、今後は複数のバリアントを同時に持つ場合の病状解明が進められます。

出典元
京都大学 研究成果

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