後天性血友病Aを対象としたヘムライブラの第III相試験、主要解析結果をISTHで発表
中外製薬株式会社は7月12日、抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体血液凝固第VIII因子機能代替製剤「へムライブラ(R)(一般名:エミシズマブ(遺伝子組換え))」について、後天性血友病Aを対象に実施した国内第III相「AGEHA試験」の主要解析結果が第30回国際血栓止血学会(ISTH)で発表されたと報告しました。
後天性血友病Aは、後天的に血液凝固第VIII因子が発現し、凝固第Ⅷ因子活性が低下することにより、突発的な皮下出血や筋肉内出血などの出血症状が現れる疾患。その本態は膠原病や悪性腫瘍、分娩などによって第VIII因子に対する自己抗体が産生される自己免疫疾患です。
AGEHA試験は、登録時点で免疫抑制療法を開始予定又は実施中の後天性血友病Aの成人患者さん12例を含む後天性血友病Aの患者さんを対象にヘムライブラを皮下投与した際の安全性、有効性、薬物動態および薬力学を検討する臨床試験。参加者には同剤を、1日目に 6mg/kg(体重)、2日目に3mg/kg(体重)を皮下投与、8日目から1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔で皮下投与しました。その結果、ヘムライブラ投与後の有効性評価期間(期間中央値 44.5日、範囲:8-208日)において、12例中2例(16.7%)で治療を要した出血が認められましたが、すべての参加者で治療を要する大出血は認められませんでした。
年間出血率は、治療を要した出血(回/年)がヘムライブラ投与前の35.6(24.91-49.42)に対して投与後で3.2(0.69-9.01)、大出血(回/年)が投与前の66.4(51.41-84.44)に対して投与後で0.0(NA-3.69)、全出血(回/年)が投与前の77.0(60.80-96.27)に対して投与後で6.9(2.76-14.30)を示しました。
有害事象の総数は78件で、12例中全例で確認。4例で重篤な有害事象が認められましたが、いずれも治験薬との関連性は認められなかったそうです。ヘムライブラに関連する有害事象は、12例中3例(25%)で、そのうち1例では無症候性の深部静脈血栓症が認められましたが、発見から1週間後に消失が確認されたとしています。なお、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。
なお、ヘムライブラはこのデータに基づき、「後天性血友病A患者における出血傾向の抑制」に対して、6月20日に日本国内で適応追加の承認を取得しています。