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GLP-1R作動薬で炎症性筋疾患モデルの筋炎症を改善

東京医科歯科大学は7月6日、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)作動薬を用いた治療によって炎症性筋疾患モデルの筋力低下や筋萎縮、さらに筋の炎症が改善したと発表しました。

この成果は韓国ImmunoForge社との共同研究によるもので、科学誌「Journal of Cachexia, Sarcopenia, and Muscle」オンライン版に6月30日付で掲載されています。

多発性筋炎などの炎症性筋疾患は、体幹や四肢の筋力低下などの症状が現れる原因不明の疾患。炎症性筋疾患の治療には、副腎皮質ステロイド薬や種々の免疫抑制剤が用いられますが、免疫力を広範囲に抑えてしまうことから、感染症などの副作用が問題となっています。また、副腎皮質ステロイド薬を使用することでステロイド筋症を誘導するため、更なる筋力低下が引き起こされます。

さらに副腎皮質ステロイド薬が有効でない患者さんや、筋の炎症が制御できた後にも筋力回復に長期間を要する患者さんが多数存在することも大きな課題です。現状、非特異的な免疫抑制を作用点とした治療法が効果不十分であることから、研究グループは炎症性筋疾患における筋の役割に着目した解析を行っていたそうです。

今回の研究では、炎症性筋疾患のマウスモデルに対するGLP-1R作動薬を用いた治療によって筋力低下や筋萎縮に加え、筋の炎症を改善させることが示唆されました。また、GLP-1R作動薬は筋細胞の細胞死に必須であるPGAM5の発現の抑制や活性酸素種の蓄積の制御を介することで、筋細胞の細胞死を阻害し炎症性筋疾患モデルを改善させることを解明したとしています。

画像はリリースより

今回の研究成果について、研究グループはプレスリリースで「GLP-1R作動薬は糖尿病治療薬として既に臨床使用され、十分な安全性情報も存在することから、本薬剤の炎症性筋疾患に対するdrug repositioningの可能性が見出されました。本剤の炎症性筋疾患に対する臨床応用にむけた共同研究を進めて行く予定です」と述べています。

出典
東京医科歯科大学 プレスリリース

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