中外製薬、世界血友病連盟の人道支援プログラムへの参画を2028年末まで延長
中外製薬株式会社は5月10日、スイス・ロシュ社が世界血友病連盟(WFH:World Federation of Hemophilia)による人道支援プログラム「WFH Humanitarian Aid Program」への参画を2028年末まで延長したと発表しました。
開発途上国の出血性疾患の患者さんは、診療や治療およびケアを受ける機会がないため、健康やQOL(生活の質)、寿命などに大きな影響を及ぼします。こうした地域では、先進国で血友病Aの標準治療となっている出血予防療法を実施することが難しいため、重症血友病の患者さんたちは、成人期までの生存が難しく、成人した場合も多くは重い障害や孤立、慢性的な疼痛を伴うといいます。
WFH人道支援プログラムでは、標準治療を受けることができない開発途上国の遺伝性出血性疾患の患者さんを対象に、治療へのアクセス改善を図る取り組みを行っているそうです。同プログラムを通じ、これまでに112カ国以上で2万2000名を超える血友病患者さんに出血予防療法またはオンデマンド療法が提供され、うち2000名以上が出血予防療法を受けられているとのことです。
今回の延長により、WFH人道支援プログラムに対して、ロシュ・グループの有する出血予防療法が提供され、治療へのアクセスが不十分な地域の約1000名におよぶ血友病A患者さんたちへの治療の提供が継続されます。提供される医薬品の創製元である中外製薬は、ロシュ・グループのメンバーとして、同プログラムにロシュ社と共に継続して参画するとしています。
2019年2月に開始されたロシュ社とWFHのパートナーシップ開始以降、寄付された医薬品は、30カ国で940名以上の治療に役立てられているとのこと。中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田修氏は、プレスリリースにて、「WFH人道支援プログラムにより、中外製薬創製の医薬品による出血予防療法をより多くの方にお役立ていただくことができます。本プログラムは個人に持続可能なケアを提供するだけでなく、その結果として社会全体に恩恵をもたらしています」と述べるとともに、「中外製薬とロシュがこのプログラムに引き続き参画し、WFHを通じ、我々の医薬品への安定したアクセスが確保されることを嬉しく思います」と語っています。