進行性核上性麻痺(PSP)で脳内タウ蓄積が速いほど症状も速く進行することを発見
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構は9月5日、進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy: PSP)患者さんの生体脳に蓄積するタウが経時的に増加・拡大する様子を可視化し、脳深部の淡蒼球におけるタウ蓄積の増加量が大きい患者ほど症状の進行も速いことを世界で初めて示したと発表しました。
進行性核上性麻痺(PSP、指定難病5)は中高年で発症し、歩行障害や転倒、眼球運動障害、認知機能障害などが進行する疾患で、患者数は人口10万人当たり10~から20人程度と推定されています。現在、病気の進行を抑える根本的な治療法は確立されていません。従来の死後脳研究などでは脳内のタウ蓄積が主な病理変化として知られていましたが、同一の患者さんを時間を追って観察することができず、タウ蓄積の変化と症状悪化の関連は明らかになっていませんでした。
今回、研究グループは、独自開発した高感度タウPET薬剤「florzolotau(18F)」を用いて、進行性核上性麻痺(PSP)患者さん26名と健常者10名を対象に初回と約1年後のPET検査を実施しました。その結果、患者さんの脳内では大脳基底核や前頭頭頂葉、小脳でタウの蓄積が増加・拡大していることが確認されました。
特に進行性核上性麻痺(PSP)で最も頻度の高いリチャードソン症候群の患者さんにおいて、脳深部の淡蒼球におけるタウ蓄積の増加量が、実際の症状進行の程度と強く相関していることが判明しました。淡蒼球でタウ蓄積が進むスピードが速い患者さんほど、症状も速く悪化することが示されています。
今回の成果は、タウの蓄積を抑える治療が症状進行の抑制につながる根拠となるほか、PETによる経時的な画像評価が病状進行を客観的に測る画像バイオマーカーとして治療薬開発などに活用されることが期待されています。
