自己免疫疾患の原因遺伝子変異を特定する新技術「UNIChro-seq」を開発
理化学研究所は9月2日、應義塾大学などとの共同研究により、標的とするゲノム領域のクロマチンの開き具合を高精度かつ効率的に定量する新手法「UNIChro-seq(ユニクロシーク)」を開発したと発表しました。
自己免疫疾患は、免疫系が自分の体を誤って攻撃することで生じます。多くの遺伝的変異が見つかっていますが、その多くは遺伝子の働きを調節する領域に存在するため、病気との関わりを直接確かめることは困難でした。
細胞の核内では、遺伝子が働く際にDNAが巻き付いている「クロマチン」という構造が開いた状態になります。この開き具合の測定は従来、ゲノム全体を対象とするため費用や手間がかかり、特定の領域を詳しく調べるには課題がありました。
今回、研究グループは、特定のゲノム領域のDNAだけを選択的に増幅し、個々の分子を数える「UNIChro-seq(ユニクロシーク)」を開発しました。これにより従来法に比べ標的領域を約3,800倍濃縮し、少数の細胞から高精度に測定できます。また、ゲノム編集による解析で、編集操作自体が測定結果に偏りを与える「編集アレルバイアス」という現象を明らかにしました。これを解決するため、変異の導入と修復を双方向で行う手法を確立し、変異本来の効果を正確に評価できるようにしました。この手法を関節リウマチのリスク変異に応用したところ、変異がT細胞の働きに関わる遺伝子の発現を低下させ、病態に関与する可能性を実験的に示しました。

以上の研究成果により、遺伝的変異から分子機能、細胞状態、そして病態へとつながる過程を解明する基盤技術として期待されます。
なお、同研究の成果は、科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
