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神経からの信号で動く筋組織の再現に成功

名古屋大学の研究グループはヒトの神経筋組織モデル開発に成功したと発表しました。今回開発されたモデルは細胞培養用のマイクロデバイスを用いて、筋細胞由来の三次元筋組織をiPS細胞由来の運動ニューロンのスフェロイドと連結させ同時に培養するものです。将来的に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やサルコペニアなど神経筋疾患の発症メカニズム解明と治療薬開発に繋がると期待されています。

筋肉が動くためには運動ニューロンからの情報が神経筋接合部を介して筋肉に適切に伝わる必要があります。脊髄性筋萎縮(ALS)や球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、サルコペニアをはじめとする神経筋疾患は運動ニューロン、あるいは神経筋接合部に障害が起こり、情報伝達がうまく行われなくなるために運動機能が損なわれます。運動機能の低下は生活の質(QOL)にも大きく影響しますが、これまでに有効な治療法がほとんど開発されていません。そこで本研究では発症メカニズムの解明への展開を想定し神経筋疾患のモデル開発を目指しました。

研究グループは細胞培養用のマイクロデバイスを作製し神経筋組織モデルの作成に成功しました。マイクロデバイスでiPS細胞に由来する運動ニューロンの小さな塊と筋細胞から構築した培養筋組織を同時に培養し、培養している筋組織の収縮を測定できるようになりました。さらに神経筋接合部の培養にも成功し、運動ニューロンの細胞体、軸索、筋組織にそれぞれ個別の薬剤や物理刺激による負荷が可能となりました。さらなる研究により、神経筋疾患のメカニズムと有効な治療法開発に繋がると期待されています。

出典元
名古屋大学 研究成果

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