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難治性ネフローゼ症候群の治療薬リツキシマブの治療効果を血液検査で予測

名古屋大学と東京大学医科学研究所の共同研究グループは8月27日、難治性ネフローゼ症候群の治療薬リツキシマブ(RTX)が効く患者さんを採血で見分ける手がかりを、T細胞の遺伝子発現解析によって見いだしたと発表しました。

ネフローゼ症候群は、腎臓で血液をろ過する「糸球体」が障害され、血液中の重要なタンパク質が大量に尿へ漏れ出してしまう疾患です。その代表的な原因である「微小変化型ネフローゼ症候群(MCD)」の治療には、まずステロイド薬が使われます。多くの場合は治療によく反応しますが、全体の10~30%の患者さんはステロイドの量を減らすたびに再発を繰り返す「頻回再発型」や「ステロイド依存性」へと移行してしまいます。ステロイドを長期間使い続けると、骨粗しょう症、感染症、糖尿病といった深刻な副作用を引き起こすリスクが高まります。そのため、病気の再発と副作用の懸念からステロイドを減量・離脱できない状況が、患者さんにとって大きな心身の負担となっています。難治性の患者さんに対しては、免疫細胞の一種であるB細胞を除去する治療薬「リツキシマブ」が有効であることが分かっていますが、これまで効果の有無やその詳しいメカニズムを採血で見分ける指標はありませんでした。

今回、研究グループは、難治性の成人患者さんを対象に、リツキシマブ投与前後の血液から免疫細胞であるT細胞を採取し、細胞1個ごとの遺伝子発現を解析しました。その結果、治療がよく効いた反応群では、効かなかった非反応群と比較して、投与後に変動した遺伝子の数が約18倍に達していることが分かりました。特にCD4陽性細胞傷害性T細胞を中心に、エネルギーを生み出すミトコンドリアの代謝機能が高まっていることが推定されました。さらに、別の患者群を対象とした検査では、反応群において、細胞にダメージを与える活性酸素種が投与後に低下し、酸化ストレスが軽減していることも示されました。一方で、治療が効かなかった非反応群では、このようなT細胞の変化が乏しいことも確認されました。

画像はリリースより
画像はリリースより

以上の研究成果より、リツキシマブの治療効果には、直接の標的であるB細胞の除去だけでなく、T細胞への波及効果が関係している可能性が示されました。T細胞の代謝状態や活性酸素種を判断の指標として活用することで、治療が有効な患者を早期に見極め、一人ひとりに適した治療を行う個別化医療の実現につながることが期待されます。

なお、同研究の成果は、米国科学誌「iScience」オンライン版に8月21日付で掲載されました。

出典
東京大学医科学研究所 プレスリリース

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