開発中のapecotrep、第2相臨床試験で蛋白尿40%減少を達成
独ベーリンガーインゲルハイム社は1月28日、一次性巣状分節性糸球体硬化症(Focal Segmental Glomerulosclerosis:FSGS)患者さん向けに開発中の経口投与の非免疫抑制TRPC6阻害薬であるapecotrep(BI 764198)を12週間にわたり評価する第2相臨床試験の結果を発表しました。
一次性巣状分節性糸球体硬化症は、腎臓のろ過機能を担う足細胞が損傷したり失われたりすることで、尿中に蛋白質が漏れ出し、最終的には腎機能の低下を招く進行性腎疾患です。現在、一次性巣状分節性糸球体硬化症の根本原因に直接働きかける承認された治療薬はなく、新しい治療法の開発が強く望まれています。
apecotrepは、足細胞を過剰に活性化させて損傷を引き起こす特定の蛋白質チャネルであるTRPC6の働きを抑えることで、病気の進行を遅らせることを目的とした飲み薬です。この薬はすでに、日本を含む世界各国の当局から、希少疾病用医薬品などの指定を受けています。
第2相臨床試験において、apecotrep 20mg投与群では、プラセボと比較して、腎臓損傷に関連する主要指標である蛋白尿が40%減少しました。さらなる有効性と安全性を確認するために、成人および青年期の患者さんを対象とした第3相臨床試験への参加者を募っています。また、他の蛋白尿を伴う腎疾患に対する試験も開始される予定で、多くの腎疾患患者に新しい治療を届けるための取り組みが進められています。
ベーリンガーインゲルハイムのイノベーションユニット担当取締役パオラ・カサロッサ氏はプレスリリースにて、「このたびの結果は、腎臓の健康におけるベーリンガーの科学的リーダーシップだけでなく、FSGSのような希少な腎臓症状を含め、心・腎・代謝疾患の患者さんに対する献身的な取り組みを示すものです。現在進行中の第3相試験において当社は、一次性FSGSの初の疾患修飾療法の開発を実現し、患者さんのために標準療法を変えることを目指して、apecotrepの治験を進めています」と述べています。
また、治験責任医師を務めた米国ミシガン大学のHoward Trachtman氏は、「一次性FSGSは重篤な糸球体疾患であり、小児と成人の腎機能障害の重大な原因となります。一次性FSGSの根本的な機序を標的とすることで、apecotrepは成人患者において良好な忍容性プロファイルを示しつつ、プラセボと比較して40%の蛋白尿を減少させました。このような臨床的に価値のある結果により、アンメットニーズの高い一次性FSGSのファーストインクラス候補の標的治療薬としての可能性を調査することが重要であることが明らかになりました」と述べています。
なお、この結果はLancet誌に掲載され、米国腎臓学会議(ASN)2025で発表されました。
