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早期発症型異染性白質ジストロフィー(MLD)治療薬OTL-200、希少疾病用再生医療等製品指定を取得

協和キリン株式会社と英Orchard社は10月28日、開発中の遺伝子治療薬OTL-200(atidarsagene autotemcel)が、厚生労働省より早期発症型異染性白質ジストロフィー(MLD)の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されたと発表しました。

異染性白質ジストロフィー(MLD)は、急速かつ不可逆的に進行し、最終的に生命を脅かす極めて希少な遺伝性神経代謝疾患です。出生10万人に約1人の割合で発症するとされており、アリルスルファターゼA(ARSA)酵素をコードする遺伝子の異常が原因で、神経損傷や発達退行を引き起こします。日本では現在、支持療法や終末期ケア以外に異染性白質ジストロフィー(MLD)に対する承認された治療法はありません。

OTL-200は、患者さん自身の造血幹細胞(HSC)を用いたex vivo自家造血幹細胞遺伝子治療です。この治療法は、レンチウイルスベクターを用いて機能的なヒトARSA遺伝子の複製を体外で患者さんのHSCのゲノムに挿入し、遺伝子改変された細胞を生着後に中枢神経系へ移動させることで、正常な機能を有する酵素を発現させることを目的としています。OTL-200の対象となるのは、臨床所見発現前の乳児期遅発型(PSLI)、臨床所見発現前の早期若年型(PSEJ)、および発症早期の早期若年型(ESEJ)を合わせた早期発症型異染性白質ジストロフィー(MLD)の小児です。協和キリンは現在、これらの小児患者さんを対象としたOTL-200の臨床試験の開始に向けて日本で準備を進めています。

OTL-200は既に欧米で承認されており、米国ではLenmeldy、欧州ではLibmeldyとして展開されています。適格な異染性白質ジストロフィー(MLD)患者さんの根本的な原因を修正することを目的とした唯一の疾患修飾療法とされています。また、OTL-200はサウジアラビアにおいても、早期発症型異染性白質ジストロフィー(MLD)の治療に対する希少疾病用医薬品指定と優先審査指定をサウジアラビア食品医薬品局(SFDA)から取得しています。

協和キリンの山下武美取締役副社長 Chief Medical Officerはプレスリリースにて、「OTL-200が日本で希少疾病用再生医療等製品の指定を受けたことを大変嬉しく思います。これはこれまで治療法がなかったMLDという命にかかわる重篤な神経変性疾患で苦しむ幼い患者さんに対して、OTL-200が革新的な治療をもたらす重要なものであることを裏付けるもので、同様の指定をサウジアラビアでも得ています。この治療法は既に欧米で治療が展開されており、1回の実施で酵素機能を回復させ、重篤な神経変性疾患の進行を遅延させる可能性を有する治療法として高く評価されています。私たちは日本の患者さんとそのご家族にLife-changingな価値を届けるために、OTL-200の開発を速やかに進めるとともに、他の地域の患者さんに治療機会を提供することにも尽力します」と述べています。

出典
協和キリン株式会社 プレスリリース

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