国内臨床試験準備中の軟骨無形成症治療薬TransCon CNP、希少疾病用医薬品に指定
帝人ファーマ株式会社は6月3日、国内で臨床試験の開発準備を進めている「TransCon CNP(Navepegritide、開発コード:ACP-015)」について、軟骨無形成症を予定される効能又は効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けたと発表しました。
軟骨無形成症(指定難病276)は、線維芽細胞増殖因子受容体3型(FGFR3)遺伝子の変異に伴う遺伝性疾患です。この疾患は、特徴的な低身長や骨の成長異常に加えて、さまざまな合併症を引き起こします。軟骨無形成症の患者さんは、およそ2万人に1人の割合で生まれると言われています。
現在、一定の基準を満たした軟骨無形成症に対しては、成長ホルモン治療やC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)アナログ製剤による治療が保険適用されています。脚や腕の短さを改善するため、下肢や上肢を延長する手術が行われることもあります。
TransCon CNPは、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)をTransConという技術によって長時間作用させる薬剤です。TransCon技術は、生理活性を持たないキャリアと活性型ホルモンを架橋剤を介して結合させ、不活性体として投与することで、体内で活性型ホルモンがキャリアから徐々に放出され、ホルモンの長時間作用が達成される技術です。この技術は、デンマークのアセンディス・ファーマ社独自のもので、帝人ファーマは、2023 年 11 月 29 日にアセンディス・ファーマ社との間で、TransCon CNPの日本国内における研究、開発、製造、販売に関する独占的ライセンス契約を締結しています。
アセンディス・ファーマ社が2歳から11歳の軟骨無形成症患者さんを対象に実施した後期第II相臨床試験(ApproaCH Trial)のトップライン結果では、TransCon CNPがプラセボ群と比較して年間成長速度を有意に改善することが示されています。日本国内においては、帝人ファーマが軟骨無形成症の小児患者さんを対象に国内臨床試験を準備中です。
なお、TransCon CNPは、米国と欧州の両方で軟骨無形成症の治療薬として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けており、2025年3月末に米国での新薬承認を申請し、欧州では2025年第3四半期に販売承認申請を行う予定としています。