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デュピクセント、水疱性類天疱瘡の治療薬として製造販売承認事項一部変更承認を申請

サノフィ株式会社は4月25日、デュピクセント(一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え)、以下「デュピクセント」)について、水疱性類天疱瘡の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表しました。

水疱性類天疱瘡は、自己免疫反応により表皮下に水疱が生じる希少疾患であり、指定難病(指定難病162)に登録されています。この疾患は、全身に強い痒みや水疱、紅斑、びらん、痛みを引き起こし、再発を繰り返す性質があるため、患者さんの日常生活に大きな影響を与えます。主に高齢者に見られる疾患であり、現在の標準的な治療法としてはステロイド薬や免疫抑制薬が用いられていますが、これらの薬剤の長期使用に伴う合併症や副作用が課題として認識されています。

デュピクセントは、アトピー性皮膚炎や気管支喘息など複数の炎症性疾患に関与する2型炎症のメカニズムにおいて中心的な役割を担うタンパク質であるIL-4とIL-13の働きを特異的に阻害する完全ヒトモノクローナル抗体です。水疱性類天疱瘡の病態においても、この2型炎症が重要な役割を果たしていることが解明されています。

今回の承認申請は、中等症から重症の成人水疱性類天疱瘡患者106名を対象に実施された第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(ADEPT試験)の良好な結果に基づいたものです。この試験では、治療期間中、全ての被験者に対して治験実施計画書で規定された経口ステロイド薬の減量レジメンが適用され、疾患活動性がコントロールされている場合には経口ステロイド薬の漸減が進められました。

主要評価項目とされた36週時点での寛解持続を達成した患者の割合は、デュピクセント投与群で20%であったのに対し、プラセボ投与群では4%という結果でした(p=0.0114)。寛解持続の定義は、16週目までに完全寛解を達成し、かつ経口ステロイド薬の減量を完了し、36週目までの投与期間中に再燃がなく、レスキュー療法を必要としなかったこととされました。安全性に関しては、これまでにデュピクセントで確立されている安全性プロファイルと一貫していました。

なお、水疱性類天疱瘡に対する適応については、2025年3月に希少疾病用医薬品としての指定を受けています。デュピクセントが承認されれば、水疱性類天疱瘡において初めての生物学的製剤となる可能性があります。

出典
サノフィ株式会社 プレスリリース

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