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【米】非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFBE)治療薬ブレンソカチブの有効性・安全性・忍容性を評価するASPEN試験の良好結果を発表

インスメッド合同会社は6月3日、非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFBE)患者さんを対象としたブレンソカチブの有効性・安全性・忍容性を評価する、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同試験であるASPEN試験のトップラインの結果が良好であったことを発表しました。

非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFBE)は、不可逆的に異常に拡張した気道、持続的な咳、過剰な喀痰分泌、再発性の肺感染症を特徴とした慢性進行性の呼吸器疾患です。

ブレンソカチブは、インスメッドが気管支拡張症やその他の好中球介在性疾患の治療薬として開発している低分子の経口ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)の選択的競合的可逆的阻害薬。DPP1およびそのNSPの活性化を阻害することにより、気管支拡張症などの炎症性疾患への損傷作用を低下させることが期待されます。

今回の試験は、非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFBE)患者さんを対象に成人患者さん(18~85歳)を1:1:1に、青年患者さん(12~18歳未満)を2:2:1に無作為に割り付け、ブレンソカチブ10mg、ブレンソカチブ25mg、またはプラセボを1日1回52週間投与し、その後4週間休薬し、ブレンソカチブの有効性・安全性・忍容性を評価する試験です。主要な有効性の解析には、成人患者1,680例及び青年患者さん41例のデータが含まれます。

本試験は、主要評価項目を達成し、ブレンソカチブの両用量において、年率換算した肺疾患増悪(PEs)の発生率のプラセボに対する統計学的に有意な減少を示しました。また、本試験は、複数の事前に規定された副次的評価項目においても統計学的有意性を示しました。

ブレンソカチブは、本試験において良好な忍容性を示しました。いずれの用量のブレンソカチブを投与された患者でも少なくとも5.0%に発現し、プラセボよりも頻度が高かった試験治療下で発現した有害事象(TEAEs)においては、COVID-19(15.8%、20.9%、15.8%)、鼻咽頭炎(7.7%、6.3%、7.6%)、咳嗽(7.0%、6.1%、6.4%)、頭痛(6.7%、8.5%、6.9%)でした。

インスメッドの最高医学責任者(CMO)であるマルティナ・フラマー氏(M.D., M.B.A.)はプレスリリースにて、「ASPEN試験から得られたトップラインの結果、そしてそれが患者さんにとってどのような意味を持つのかを考えると、大変嬉しく思います。これらの結果は、ブレンソカチブが気管支拡張症の治療状況を一変させる可能性があるという私たちの信念を裏付けるだけでなく、DPP1阻害が他の好中球を介する疾患でも有望な作用機序であることをさらに証明するものです。」と述べたうえで、「本日の結果は、インスメッドチームの多くのメンバーによる長年の努力と献身の結果であり、その努力に感謝します。そして、この臨床試験を可能にした治験担当医師、施設スタッフ、患者さん、ご家族の皆さんに感謝申し上げます。私たちは今後、データの解析を進めるとともに、主要地域における承認申請に向けて迅速に前進してまいります。承認された治療により、約 100 万人の気管支拡張症患者が恩恵を受ける可能性があると考えています」と述べています。

ブレンソカチブは、FDAから画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation)を受け、欧州医薬品庁から気管支拡張症患者さんを対象とした優先医薬品(PRIME)スキームへのアクセスが認められたため、今後、ASPEN試験の詳細な結果を医学会議で発表する予定です。

なお、今回の試験の結果に基づき、2024年第4四半期に気管支拡張症患者さんを対象としたブレンソカチブの新薬承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出する予定です。規制当局の承認が得られた場合、インスメッドは、2025年半ばに米国でブレンソカチブを発売し、その後2026年前半に欧州と日本で発売する予定です。承認されれば、ブレンソカチブは気管支拡張症患者さんに対し初めて承認された治療薬となり、ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)阻害薬(好中球性炎症を介する様々な疾患の治療に用いられる可能性を有する新たな作用機序)としても初めての承認となります。

出典
インスメッド合同会社 プレスリリース

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