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全身型重症筋無力症とシェーグレン症候群に対する開発中の治療薬nipocalimabに関する良好な結果を報告

ヤンセンファーマ株式会社は2月20日、米・ジョンソン・エンド・ジョンソン社が成人の全身型重症筋無力症(gMG)患者さんを対象としたnipocalimabのピボタル第III相VIVACITY試験及び成人のシェーグレン症候群(SjD)患者さんを対象とした第II相DAHLIAS試験の結果を発表したことを公表しました。

nipocalimabは、FcRnを選択的に阻害し、複数の疾患の根本的な原因となっている自己抗体や同種抗体をはじめとする循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を下げる、現在開発中のFcRn阻害薬です。この1年間で、全身型重症筋無力症(gMG)およびシェーグレン症候群(SjD)に加え、胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)および関節リウマチの4つの自己抗体疾患に対する臨床的有効性を示しました。なお、日本においてはnipocalimabは現在開発中であり、まだ承認されていません。

第III相VIVACITY試験は、中等度から重度の全身型重症筋無力症(gMG)を有し、標準治療では十分な効果が得られない成人患者さんを対象としたものです。その結果、nipocalimabは主要評価項目を達成し、プラセボと比較して第22週から第24週にかけてのMG-ADL(重症筋無力症-日常生活動作)スコアにおいて、ベースラインから統計学的に有意な低下を示しました。

さらに、シェーグレン症候群(SjD)を対象とした第II相DAHLIAS用量設定試験においても、主要評価項目が達成され、プラセボと比較して第24週時のclinESSDAIスコア(11の器官系領域における器官別疾患活動性を評価する複合的尺度)が、ベースラインから統計学的に有意な低下を示しました。また、安全性として両試験におけるnipocalimabの忍容性は良好でした。

nipocalimabは、この2つの臨床試験に加え、胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)および関節リウマチの4つの自己抗体疾患に対する臨床的有効性を示しました。

これらの慢性自己抗体疾患に対しては、現時点で承認された高度な治療薬はなく、今回の結果は、現在開発中のFcRn阻害薬の中で初めて良好な結果が示されたものとなります。シェーグレン症候群(SjD)は男性よりも女性に多く発症すると言われており、これは現在開発中のFcRn阻害薬の中で、妊婦を対象とした臨床試験で良好なベネフィット・リスクを示しているnipocalimabのユニークな位置づけからも、重要な結果であると考えられます。

ジョンソン・エンド・ジョンソンのVice Presidentであり、Autoantibody and Maternal Fetal Immunology Disease Area LeaderでもあるKatie Abouzahr氏は「これらの重要な試験で得られた総合的な結果を、今後開催される学術会議で発表できることを楽しみにしています。私たちは、これらの慢性自己抗体疾患における多くのアンメットニーズに対処できるよう取り組んでいきます」と述べています。

また、ジョンソン・エンド・ジョンソン社は今後、第III相VIVACITY試験から得られた全ての結果を今後開催される学術会議で発表するとともに、gMGの患者さんにnipocalimabを提供できるよう、各国の保健当局と連携していくといいます。また、第II相DAHLIAS試験の結果は、SjDを対象とするnipocalimabの臨床開発を次のステップに進めることを支持するものであり、同試験の全ての結果についても本年の学術会議にて発表する予定です。

なお、 nipocalimab は、これまでに米国食品医薬品局(FDA)より、胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、全身型重症筋無力症(gMG)でFast Trackに指定され、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)、全身型重症筋無力症(gMG)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)でオーファンドラッグに指定されました。また、欧州医薬品庁により、胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)でオーファンドラッグに指定されました。

出典
ジョンソン・エンド・ジョンソン社 プレスリリース

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