多発性硬化症に対する抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの研究成果を学会にて発表
シンバイオ製薬株式会社は10月12日、多発性硬化症(MS)を対象に米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)と共同研究を進めている抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(BCV)に関する研究成果が2023年10月11~13日にイタリア・ミラノでおこなわれた第9回ECTRIMS-ACTRIMS合同学会(9th Joint ECTRIMS-ACTRIMS Meeting)において、発表されたと報告しました。
多発性硬化症は、中枢神経の自己免疫疾患であり、脳、脊髄、視神経などに発病し、さまざまな神経症状が現れ、再発と寛解を繰り返します。
近年、多くの研究により、EBVが多発性硬化症のリスクファクターであることが証明されています。シンバイオ製薬とNINDSは、2023年3月に、多発性硬化症の抗ウイルス剤による新たな治療方法の確立を目的として共同開発研究契約(CRADA)を締結し、臨床試験の実施に向けて共同研究を進めています。今回の第9回ECTRIMS-ACTRIMS合同学会における発表は、共同開発研究契約(CRADA)における研究の第一報です。
第9回ECTRIMS-ACTRIMS合同学会では、多発性硬化症の患者さんおよび健常者由来の内在性Epstein-Barr Virus(EBV)による不死化リンパ芽球細胞(EBV陽性のB細胞株)において、BCV処理はウイルス複製を濃度依存的に抑制したこと、EBV陰性対照のB細胞株においては増殖抑制含めBCVの作用は認められなかったこと、これらの予備的データはBCVを多発性硬化症の患者さんへの抗EBV療法に適応する潜在的有用性を示唆していることが発表されました。
シンバイオ製薬の社長兼CEOである吉田文紀氏はプレスリリースにて「EBVを直接標的とすることで、MSに苦しむ患者さんに新たな治療選択肢を提供できる可能性を示唆する今回の研究成果に、我々はとても興奮しています。臨床試験に向けたNINDSチームとの共同研究の次のステップを楽しみにしております」と述べています。