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オメガ3脂肪酸由来の代謝物で肺血管の異常な線維化が抑制

慶應義塾大学は6月29日、炎症細胞のひとつである肥満細胞で「オメガ3脂肪酸」の代謝物「エポキシ化オメガ3脂肪酸」が産生され、肺血管の異常な線維化を抑えることを明らかにしたと発表しました。さらに、動物実験や患者のゲノム情報から、エポキシ化オメガ3脂肪酸の産生酵素「PAF-AH2」が肺高血圧症と深く関連することが判明し、この脂質の補充投与が肺高血圧症を改善させる治療手段となることを示したとしています。

この研究成果は、同大医学部内科学教室(循環器)の守山英則共同研究員(研究当時:同教室助教)、遠藤仁専任講師らの研究グループによるもので、科学誌「Nature Communications」電子版に5月31日付で掲載されました。

肺高血圧症は、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる疾患。肺への血液循環が低下し、肺から血液に取り込まれる酸素の量が減るため、息切れや呼吸困難などの症状が現れます。現在、血管を拡張して肺動脈圧を下げる薬が主に使われていますが、病気の原因から根本的に治す薬は未だありません。

今回の研究では、肥満細胞のPAF-AH2によって産生されるエポキシ化オメガ3脂肪酸が、肺血管の線維化を抑制し、肺高血圧症の発症・進行を抑えていることを解明。また、PAF-AH2が低下あるいは欠失した場合、肺高血圧症の重症化を招くことが明らかになりました。

画像はリリースより

さらに、エポキシ化オメガ3脂肪酸の投与することで、TGF-βシグナルを介した肺線維芽細胞の活性化を抑え、肺血管の病的な組織変化や右心不全が改善。この効果は、複数の肺高血圧症の動物モデルにおいても実証され、治療薬としての期待ができるとしています。

今回の研究成果について、研究グループはプレスリリースにて、「エポキシ化オメガ3脂肪酸や産生酵素PAF-AH2を活用した肺高血圧治療薬が新たに創出されることが期待されます。また、本研究で明らかとなったPAF-AH2の病的遺伝子変異の情報をもとに、肺高血圧症の臨床経過や治療反応性を予測する、先行的なプレシジョン・メディシンへの応用も期待されます」と述べています。

今回の研究成果について、研究グループはプレスリリースにて、「エポキシ化オメガ3脂肪酸や産生酵素PAF-AH2を活用した肺高血圧治療薬が新たに創出されることが期待されます。また、本研究で明らかとなったPAF-AH2の病的遺伝子変異の情報をもとに、肺高血圧症の臨床経過や治療反応性を予測する、先行的なプレシジョン・メディシンへの応用も期待されます」と述べています。

出典
慶應義塾大学 プレスリリース

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