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【米国】肺動脈性肺高血圧症(PAH)の成人患者さんに対するsotatercept、心血管系機能改善の可能性を示す

米・Merck社は9月11日、開発中の新規アクチビンシグナル伝達阻害剤(ASI、生物学的製剤)のsotaterceptについて、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の成人患者を対象とした第III相STELLAR試験の新たな解析結果をEuropean Respiratory Society(ERS)International Congress 2023で発表したと報告しました。

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺の細い血管が異常に狭くなり、また硬くなることで、血液の流れが悪くなり、心臓から肺に血液を送るための血管である肺動脈の血圧が上昇する希少疾患です。肺動脈の血圧が上昇すると、心臓に負担がかかり、息切れや動悸、足のむくみ、失神、などの症状が現れます。症状の進行が速い場合もあり、進行すると心不全や身体活動の制約、平均余命の短縮につながります。

第III相STELLAR試験は、323人の肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者さんを基礎療法にsotatercept投与を追加したsotatercept群163人と基礎療法のみのプラセボ群160人に無作為に振り分け、血行動態データおよび右室(RV)機能への影響を評価した試験です。

右心カテーテル検査と心エコー検査データの探索的事後解析の結果、右心サイズの縮小と右室(RV)機能および血行動態の改善が示されました。また、sotaterceptの安全性および有効性の解析としてはこれまでで最長となる第III相非盲検継続投与試験(SOTERIA試験)の中間解析の結果も発表しました。

STELLAR試験の主要な有効性の結果では、24週時の6分間歩行距離および副次評価項目の9項目中8項目で、sotatercept群の統計学的有意で臨床的に意味のある改善が認められました。

Merck社研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr氏は「PAHは最終的には命に関わる進行性の希少疾患で、この疾患を管理するための新たな治療法が喫緊に求められています。最新のデータは、STELLAR試験の臨床的に意味のある有効性データに加わるものであり、sotaterceptがPAHの治療を変革しうる可能性を改めて示したと考えています。PAHは心臓に負担がかかり、右心不全に至る疾患であるため、STELLAR試験の探索的事後解析で、sotaterceptによる治療で右心サイズと右室機能の改善が示されたことを特に嬉しく思います」と述べています。

なお、同試験の結果は、The New England Journal of Medicineにも掲載されました。また、Merck社は、sotaterceptの承認申請を米国食品医薬品局に提出しており、世界各国の規制当局にも承認申請する計画だそうです。

出典
MSD株式会社 プレスリリース

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