血友病B治療薬イデルビオン®、用法・容量の一部変更承認を取得
CSLベーリング株式会社は2020年8月21日、タンパク質製剤血友病B治療薬「イデルビオン®」について、投与間隔を21日に延長できるような用法・用量の一部変更承認を取得したと発表しました。より長い投与間隔が選べるようになったことで、患者さんそれぞれの生活スタイルに合わせた治療が可能になりました。また、今回の承認取得に合わせ9月10日、血友病のケアに関するオンラインセミナーが開催されました。
血液は出血時など必要な時にかたまり (血栓) を形成し、不要になると血栓が溶けるような仕組みがあります。血液をかためる時に働く物質として血液凝固因子があります。血液凝固因子があることで血はすみやかに止まりますが、血友病患者は血液凝固因子が生まれつき少ないか、働きがじゅうぶんでないため出血しやすく血が止まるまでに時間がかかります。不足している血液凝固因子の種類によって血友病Aと血友病Bに分けられ、国内には合わせて約6,600人程度の患者がいると推定されておりその多くは男性です。血友病では全身の様々な部位で出血が起こりやすく、特に関節内や筋肉内の出血が多いです。頭蓋内の出血には特に注意が必要です。
平成22年度の患者調査によると、血友病などの血液凝固に異常のある患者では、出血や関節障害がQOLを低下させる要因であると回答しています。血友病患者は関節内での出血が起こりやすく、関節の中にある滑膜に鉄分が蓄積し軟骨が傷つくことで関節が破壊されるために関節障害が起こると考えられています。
血友病治療に対しては「補充療法」が基本的には行われ、以下の3つの方法があります。
①出血時補充療法:出血時に凝固因子を補充する療法
②予備的補充療法:出血の可能性が高いイベント(運動会など)の前にあらかじめ凝固因子を補充しておく療法
③定期補充療法:決まった間隔で定期的に凝固因子を補充して出血を予防する療法
特に定期補充療法は、血友病患者の関節症の発症を防ぐ目的で行われます。定期補充療法は出血回数を減らし、血友病性関節症の発症や進行を予防すると期待されています。出血回数が減るとスポーツなどの制限が少なくなり、より活動的な学校生活、社会生活が送れるようになります。