寒冷凝集素症治療薬としてsutimlimab、日本で承認申請
サノフィ株式会社は2020年4月13日、抗補体(C1s)モノクローナル抗体製剤sutimlimabについて、重篤な血液系疾患である寒冷凝集素症(CAD)に対する治療薬として承認申請を行ったことを発表しました。現在までにCADを適応症として認められている医薬品はなく、患者さんは頻繁な輸血に頼らなければなりません。
寒冷下条件により赤血球が破壊される希少疾患
寒冷凝集素症(CAD)は自己免疫疾患のひとつに数えられます。本来は外敵と闘うことで自分の身体を維持するはずの免疫システムにかかわる、補体と呼ばれるタンパク質が異常に活性化することで、誤って自分自身の赤血球を破壊してしまうために発症します。赤血球が破壊(溶血)されるため、慢性的に貧血がおこり疲労を感じやすくなります。脳卒中や心臓発作などが起こりやすく、若いうちから死亡のリスクが高いことが明らかになっています。
CADに対する初の医薬品
抗補体(C1s)モノクローナル抗体製剤sutimlimabは、免疫系に関わるC1sと呼ばれるタンパク質に特異的に作用して、その働きを阻害します。sutimlimabは標的とするタンパク質に対する特異性が高く、標的ではない免疫システムの働きはそのまま維持します。
過去に日本を含む各国で特発性のCAD成人患者さんを対象に実施された、第Ⅲ相試験(CARDINAL試験)では、Sutimlimabを投与した患者さんは速やかな溶血の抑制と、貧血および疲労の改善が見られました。こうした結果より今回の承認申請へと至りました。Sutimlimabは、日本やアメリカなどで希少疾病用医薬品の指定を受けていました。さらに、アメリカのFDAより画期的治療薬の指定も受けています。
出典元
サノフィ プレスリリース