遺伝子治療用製品「ゾルゲンスマ®点滴静注」脊髄性筋萎縮症に対し製造販売承認を取得
ノバルティスファーマ株式会社は3月19日、ゾルゲンスマ®点滴静注(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)について脊髄性筋萎縮症(SMA)(指定難病3)に対する製造販売承認を取得したことを発表しました。ゾルゲンスマは、SMAの原因とされる遺伝子の情報を人工的に組み込んだアデノ随伴ウイルス(AVV)を利用した薬品で、SMA患者に対し1回の点滴で治療が完結する治療法です。ノバルティスファーマの発表によると、年間の投与患者数は15~20人程度が見込まれているとのことです。日本においては、2018年3月に先駆け審査指定制度対象品目に指定されており、2018年10月には希少疾病用再生医療等製品に指定されていました。
今回の承認についてノバルティスファーマ株式会社の代表取締役社長である綱場 一成は
SMAは、脊髄前角の運動神経の変性によって筋委縮や筋力低下を示す進行性の下位運動神経疾患です。もっとも症状の重い1型SMAの場合、生後6ヵ月までに発症し、患者さんの10人中9人は2歳の誕生日を迎えられないか、生涯にわたって人工呼吸器が必要となります。今回承認を取得した『ゾルゲンスマ』は、この疾患の原因になっている遺伝子の機能欠損を補う画期的な治療法で、新しい治療選択肢を必要としている患者さんの人生を大きく変える可能性があります。
https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20200319-2
とコメントしています。
脊髄性筋萎縮症(SMA)について
脊髄性筋萎縮症は国の指定難病にも脊髄にある運動神経細胞に病変がみられる疾患です。遺伝性の疾患であることが知られており、四肢を始めとした筋萎縮が進行していきます。発症時期や重症度により複数のタイプに分類され、小児で発症するタイプは10万人あたり1~2人が発症するとされています。
ゾルゲンスマについて
ゾルゲンスマはSMAの原因とされる遺伝子の情報を人工的に組み込んだAVVを利用した薬品で、静脈内に投与します。運動神経細胞に届いたAVVにより、組み込まれた遺伝子からタンパク質が作られることで、運動神経細胞の変性を防ぎ筋委縮を予防します。運動神経細胞まで届けられた遺伝子は、長期的に細胞内に留まるよう設計されています。