筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行に関わる遺伝的要因を解明、TAF15遺伝子変異で生存期間が短縮
新潟大学の研究グループは10月5日、病理解剖で診断を確認した孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)137例を解析し、その結果9例にTAF15遺伝子エクソン15の挿入・欠失(TAF15-15 indels)変異を認め、この変異をもつ群では生存期間が短いことを見いだしたと発表しました。
筋萎縮性側索硬化症(ALS、指定難病2)は、手足や呼吸、嚥下などに関わる筋力が徐々に低下していく疾患です。病気の進行には大きな個人差がありますが、その理由は十分には解明されていません。
今回の解析の結果、9例にTAF15遺伝子のエクソン15部分に、DNA配列の加減が生じる挿入・欠失変異が確認されました。この変異を持つ患者群の生存期間中央値は15.0か月であり、希少変異を持たない患者群の28.5か月と比較して生存期間が有意に短いことが判明しました。この傾向は、発症年齢や性別、発症年、初発症状などの条件を考慮した解析でも同様に維持されています。さらに、コンピューターシミュレーションを用いた解析では、この変異によってTAF15タンパク質同士が相互作用を強め、細胞内で集まり凝縮体を形成しやすくなる可能性が示されました。この変化が運動神経細胞の変性を促進させている可能性が考えられています。

海外の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者データを用いた追加検証では統計的な有意差に達しなかったものの、同様の変異を持つ患者さんで機能低下が速い傾向が見られました。今回の研究成果は、遺伝情報に基づく精密な予後予測や臨床試験での層別化のほか、新たな治療標的の開発につながることが期待されています。
なお、同研究の成果は、国際科学誌「European Journal of Human Genetics」に10⽉1⽇付で掲載されました。
