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成人の肺高血圧症に伴う急性右心不全への吸入一酸化窒素治療の有効性を確認

国立循環器病研究センターは4月1日、成人の肺高血圧症により引き起こされる急性重症右心不全に対し、一酸化窒素の吸入治療が、肺血管や心臓の負担を速やかに減らし、患者さんの状態を改善することを確認したと発表しました。

肺高血圧症によって肺の血圧が上昇すると、心臓の右室機能が急激に悪化し、急性重症右心不全という生命に関わる状態に陥ることがあります。近年、肺高血圧症の治療薬は増えているものの即効性のある薬剤は存在せず、治療効果が現れる前や専門病院へ転院する前に患者さんが命を落とすケースが問題となっていました。一酸化窒素の吸入治療は、極めて迅速に肺血管のみを拡張し、全身の血圧を低下させにくいという特徴を持っています。これまで小児や心臓手術に関連する肺高血圧には使用されてきましたが、成人の肺高血圧症に伴う急性重症右心不全に対する適応はありませんでした。

今回の研究は、2022年11月から2024年9月にかけて、肺高血圧症による重症右心不全を発症した患者さん30人を対象に実施されたものです。一酸化窒素を投与した結果、心臓から肺へ血液を送る際の血液の通りにくさを示す肺血管抵抗値が30分で改善し、急速に肺高血圧症を改善させることが確認されました。また、心臓に負担がかかった際に分泌されるホルモンである血中脳性ナトリウム利尿ペプチドの値や、心エコー検査による下大静脈径などの指標においても改善が認められました。さらに、安全性評価も行われ、重篤な有害事象がないことも確認されています。

画像はリリースより

同研究は、成人肺高血圧症患者の急性重症右心不全に対する一酸化窒素治療の有効性と安全性をランダム化比較試験で確認した初めての報告となります。以上の研究成果により、既存の治療薬の効果が十分に現れるまでの橋渡しや、右心不全が急激に悪化した際の緊急治療として臨床現場で活用できることが示されました。治療初期に命を落とす重症患者さんの減少や、症状が早期に改善し退院に繋がることが期待されます。

なお、この研究成果は2026年3月21日に日本循環器病学会で発表され、学術誌「サーキュレーション・ジャーナル」に同日付で掲載されました。

出典
国立循環器病研究センター プレスリリース

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