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【米国】特発性肺線維症(IPF)経口治療薬JASCAYDがFDAより承認を取得

独ベーリンガーインゲルハイム社は10月9日、特発性肺線維症(IPF)の成人患者さんの経口治療薬として「JASCAYD(一般名:ネランドミラスト)」が、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したと発表しました。

特発性肺線維症(IPF)は、特発性間質性肺炎(指定難病85)のひとつで、呼吸機能の持続的な低下を引き起こす進行性の疾患です。

JASCAYDは、この適応で承認された初めての優先的ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤であり、肺の炎症と線維化を抑制するという新しい作用機序を有し、呼吸機能の低下を抑制することが期待されます。

今回のFDA承認は、第3相FIBRONEER™-IPF試験(NCT05321069)と第2相試験(NCT04419506)の2つの臨床試験のデータに基づいたものです。主要評価項目である52週時の努力肺活量(FVC:呼吸機能の測定基準)のベースラインからの絶対変化量において、JASCAYD投与群はプラセボに対して統計的有意な改善を示しました。特にネランドミラスト18mg群では、プラセボ群の調整平均低下量-170mLに対し、-106mLという結果でした。また、18mg群では、投与開始2週間目という早期から持続的な治療効果が見られています。

ネランドミラスト群でプラセボ群よりも多く、最も一般的に報告された有害事象(5%以上)は、下痢(18mg群で42%、9mg群で31%、プラセボ群で17%)、COVID-19、上気道感染、抑うつ、体重減少などでした。有害事象による投与中止の割合は、既存の抗線維化治療の併用の有無を問わず、プラセボ群11%に対し、ネランドミラスト9mg群12%、18mg群15%でした。なお、最も多く投与中止に至った有害事象は下痢でした。FDAの承認を取得した製品ラベルには、「警告および注意事項」は記載されていません。

南カリフォルニア大学ケック医学校の臨床医学教授Toby Maher博士はプレスリリースにて、「このマイルストーンは、呼吸機能と生命を奪う希少な慢性疾患であるIPFの治療の新たな時代を切り開くものです。ネランドミラストは忍容性においてプラセボと同様の傾向を示しており、医師にも待ち望まれていた新たな治療オプションです」と述べています。

また、ベーリンガーインゲルハイム医療用医薬品事業担当取締役兼取締役会会長シャシャンク・デシュパンデ氏は、「FDAによるネランドミラストの承認は、IPFの治療環境を変える10年以上ぶりの重要な瞬間です。FIBRONEERTM-IPF試験の説得力のある結果によって裏打ちされたこの新たな前進は、ネランドミラストのような革新的な治療法を提供することで、IPFの治療法を変えるという当社の揺るぎない決意を裏付けるものです」と述べています。

出典
ベーリンガーインゲルハイム社 プレスリリース

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