1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 神経線維腫症II型(NF2)に対するアバスチンの適応拡大を申請

神経線維腫症II型(NF2)に対するアバスチンの適応拡大を申請

中外製薬株式会社は9月24日、抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン点滴静注用(一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え))」について、神経線維腫症II型(NF2)に対する適応拡大の申請を、8月29日付で厚生労働省に行ったと発表しました。

神経線維腫症II型(指定ん難病34、NF2)は、左右両側に聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)ができる常染色体優性の遺伝性疾患です。聴神経鞘腫による難聴、めまい、耳鳴などの症状が多く見られ、脊髄神経鞘腫の影響で手足のしびれや脱力などを伴うこともあります。神経線維腫症II型(NF2)は、海外報告によると25,000人から60,000人に1人の発生率とされる希少疾患であり、国内では発症の多くが10代から20代です。現在、聴神経鞘腫に対する治療法として経過観察、手術、放射線治療が行われていますが、手術を行った場合、聴力の温存が難しいことや、術後に神経障害の合併リスクが存在します。神経線維腫症II型(NF2)は治療選択肢が限定的で難治性の希少疾患であるため、今回の申請が承認されれば、アバスチンは世界初の治療薬となる見込みです。

アバスチンは、腫瘍の増殖と転移に重要な役割を果たす血管の新生に関わるVEGF(血管内皮増殖因子)に特異的に結合し、その作用を阻害する抗体医薬品です。アバスチンは国内では2007年6月に発売されて以降、様々ながん種の治療ガイドラインにおいて標準治療薬のひとつに位置付けられており、これまでに7つの適応症で承認を取得しています。

今回の適応拡大の申請は、NF2を対象にアバスチンの有効性および安全性を評価した、医師主導の国内第II相臨床試験であるBeatNF2試験(jRCT2080224914)の成績に基づいたものです。BeatNF2試験は、多施設共同のプラセボ対照二重盲検無作為化臨床試験として実施されました。同試験では、62名の患者さんがアバスチン投与群とプラセボ群に分けられ、治療開始24週時点での聴力改善効果が比較されました。主要評価項目は、言葉の聞き取り能力の指標である「最高語音明瞭度」による評価に基づいた、聴力改善患者の割合でした。

出典
中外製薬株式会社 プレスリリース

関連記事