1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. ギラン・バレー症候群の予後を予測可能なマーカーを発見

ギラン・バレー症候群の予後を予測可能なマーカーを発見

近畿大学の研究チームはギラン・バレー症候群の予後を予測可能なマーカーとして、抗糖脂質抗体であるIgG抗GD1a抗体を同定したことを発表しました。ギラン・バレー症候群は両足に力が入りづらい、しびれがあるなどの症状から始まる疾患で、呼吸器が必要となる場合や、運動麻痺に至る場合もあります。今回同定されたIgG抗GD1a抗体の測定と既存のツールを組み合わせることでギラン・バレー症候群患者が半年後に歩行できるかを高精度で予測できるとのことです。

背景-細菌やウイルスの感染により引き起こされる希少な疾患

ギラン・バレー症候群は一般に、ウイルスや細菌の感染により引き起こされると考えられており、1年間のうちに10万人あたり1~2人が発症すると推定されています。子供から高齢者まで幅広く発症の可能性があります。感染後数週間で両足に力が入りにくくなり、徐々に腕や顔の筋肉が動かしづらくなる、呼吸がしづらくなるといった症状にも進行します。自然に回復する場合もありますが、多くは治療を要します。本研究チームはギラン・バレー症候群の病態に関与するとされている「抗糖脂質抗体」に着目し、5種の抗糖脂質抗体(抗GM1抗体、抗GD1a抗体、抗GalNAc-GD1a抗体、抗GQ1b抗体、抗GT1a抗体)とギラン・バレー症候群患者が発症6カ月後に独立歩行可能かどうかを評価しました。

結果-予後を予測可能な生体マーカーを新たに発見

近年、オランダで「modified Erasmus GBS Outcome Score(mEGOS)」と呼ばれる、ギラン・バレー症候群の予後を予測するツールが発表されました。mEGOSは入院7日目時点の年齢、下痢の有無、筋力によって評価されます。点数が高いほど6カ月後に独立歩行できない可能性が高いと予測されます。抗GD1a抗体が陽性であった患者は、陰性例と比べ、有意に高い割合で予後が不良でした。また、抗GD1a抗体が陽性でmEGOSが10点以上の患者の約80%は6カ月後に独立歩行不可に至っており、mEGOSが10点以上のみだった場合の41%よりも高率でした。こうした結果から、抗GD1a抗体はギラン・バレー症候群の予後に関与しており、mEGOSと組み合わせることで、mEGOSのみを用いるよりも効率で予後不良を予測できることを示しました。

出典元
近畿大学 NEWSCAST

関連記事