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マイクロRNA-33の阻害で筋ジストロフィーモデルマウスの病態を改善

京都大学は8月4日、マイクロ RNA(miRNA; miR)-33が骨格筋の再生に重要な働きを持っており、筋ジストロフィーの病態形成に密接に関わっていることを見出しましたと発表しました。

筋ジストロフィー(指定難病113)は、進行性の骨格筋の変性と筋力低下を引き起こす遺伝性疾患であり、中でもデュシェンヌ型は最も重症なタイプとして知られています。現在、栄養管理やリハビリテーションなどの支持療法、そして特定の遺伝子変異を持つ患者さんに対する核酸医薬の開発が進められていますが、根本的な治療法はまだ確立されていません。

今回、研究グループは、miR-33a/b の骨格筋における働きを明らかにするために疾患モデルとして、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのモデルマウスである mdx マウスを使用しました。mdxマウスを用いた研究では、miR-33を欠損させたり、miR-33を抑制する人工核酸を投与したりすることで、筋ジストロフィーの病態が大きく改善することが明らかになりました。具体的には、この抑制によって骨格筋の幹細胞である筋衛星細胞の増殖と筋細胞への分化が促進され、その結果、骨格筋の再生が促され、線維化が抑制されて運動能力も改善したとのことです。

画像はリリースより

また、miR-33a/bは、細胞増殖や骨格筋の分化、炎症に関わる「CDK6」「FST」「ABCA1」といった標的遺伝子の発現を抑制する働きがあることが解明されました。miR-33の抑制により、これらの標的遺伝子の発現が増加することも確認されています。

以上の研究成果は、いまだ治療薬が限られている筋ジストロフィーに対する新たな治療法の開発につながる可能性を秘めており、今後、ヒトの疾患への応用を目指し、さらなる検討が進められる予定です。

なお、同研究の成果は、「EMBO Molecular Medicine」オンライン版に7月23日付で公開されました。

出典
京都大学 プレスリリース

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