IgG4関連疾患治療薬候補rilzabrutinibが再燃抑制と疾患マーカー改善、疾患治療における全身性ステロイドの総投与量の減少効果をもたらす
仏サノフィ社は6月12日、希少疾患であるIgG4関連疾患(IgG4-RD)治療薬候補rilzabrutinibの新たなデータとして、rilzabrutinibは疾患再燃の抑制およびその他の主要な疾患マーカーの改善、疾患治療における全身性ステロイドの総投与量の減少効果をもたらすことが認められたと発表しました。
IgG4関連疾患(指定難病300)は、進行性で再発性の慢性免疫介在性希少疾患で、ほぼ全ての臓器に影響を及ぼし、不可逆的な臓器障害や死に至ることもあります。IgG4関連疾患の患者さんは、症状が悪化する再燃を繰り返し、その治療にはIgG4関連疾患の治療として薬事承認はされていない全身性ステロイドやリツキシマブなどの免疫抑制薬が適応外で投与が行われています。
rilzabrutinibは、新規の経口BTK阻害剤であり、免疫系のバランス回復を通じ、様々な免疫介在性または炎症性の疾患に効果を示す可能性があります。サノフィは、今年中に第III相試験を開始する見込みです。現在、臨床開発段階にあり、その安全性と有効性は、いずれの規制当局でもまだ評価されていません。
欧州リウマチ学会議(EULAR 2025)で発表された第II相試験結果では、活動性IgG4関連疾患の患者さんの70%が、52週時点まで追加治療なしで疾患再燃がない状態を維持しました。また、疾患活動性の臨床的に意義のある改善が52週時点で認められ、これは12週時点から持続しました。rilzabrutinibの安全性プロファイルはこれまでの試験と同様で、新たな安全性シグナルはありませんでした。
ハーバード大学医学部教授マサチューセッツ総合病院Edward A. Fox内科部長、The IgG4ward! Foundation取締役会長のジョン・ストーン医師はプレスリリースにて、「IgG4関連疾患は進行性の免疫介在性希少疾患で、高い患者ニーズがあります。この疾患は不可逆的な臓器障害を引き起こし、死に至るおそれもありますが、承認されている治療薬は限られています。EULARで発表されたデータはrilzabrutinibがIgG4関連疾患の慢性線維炎症性症状の管理に役立つ可能性を示すものであり、疾患再燃を抑制し、全身性ステロイドによる治療への依存を軽減する効果が期待されます」と述べています。
また、免疫・オンコロジー領域担当グローバルヘッドのアリサ・ヨンセン氏は、「IgG4関連疾患をはじめとする免疫介在性の希少疾患に対する新たな治療薬の開発に力を注いでいます。今回EULARで発表した第II相試験の結果は期待のもてるものであり、rilzabrutinibがIgG4関連疾患の症状と病態の進行に意義のある効果をもたらす可能性について、信頼をさらに高めるものでした。今後も rilzabrutinibの開発プログラムをさらに進めてまいります」と述べています。
なお、同研究の成果は、2025年6月11日~14日にスペイン・バルセロナで開催中の欧州リウマチ学会議(EULAR 2025)にて発表されました。