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中大動脈症候群の病因遺伝子を同定、RNF213遺伝子の異常が疾患の原因

東京科学大学は6月11日、全身の血管が狭窄する希少難病「中大動脈症候群」の原因遺伝子を、全エクソン解析によって探索した結果、RNF213遺伝子が原因候補として同定され、マウスモデルを用いた実験により、この遺伝子の異常が疾患の原因であることを明らかにしたと発表しました。

中大動脈症候群は、大動脈や主要な血管が狭くなり、血液の流れが悪くなることで、脳卒中や腎機能障害、高血圧などの重篤な合併症を引き起こすことが知ら れています。これまで有効な薬物治療法は確立されておらず、外科的治療も困難でした。

今回、研究チームは、中大動脈症候群の患者さんを対象に全エクソン解析を行い、RNF213遺伝子の異常を原因候補として同定しました。さらに、患者さんと同一のバリアントを持つノックインマウスを作製し、その病態を解析した結果、肺の構造異常と重度の炎症により、マウスは出生直後に死亡しました。

これらの異常は、炎症カスケードの活性化およびNF-κBシグナル経路を介した炎症反応の亢進によって引き起こされており、RNF213のバリアントが単球やマクロファージの過剰な活性化を促すことが示唆されました。

以上の研究成果より、RNF213が中大動脈症候群の病因遺伝子であると結論づけられました。また、これまでは疾患の原因は不明であったため、根本的な治療法の開発が困難でしたが、今回の発見によってRNF213遺伝子を標的とした新たな治療法の構築や中大動脈症候群の診断精度の向上が期待されます。さらに、本研究で作製されたノックインマウスは、モヤモヤ病や原発性肺高血圧症といった関連疾患の病態解明や創薬研究にも応用可能であると考えられるとしています。

なお、同研究の成果は、「JCI Insight」に6月10日付で掲載されました。

出典
東京科学大学 プレスリリース

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