オリゴアデニル酸合成酵素(Oas1a)が病原体プリオンの感染を抑制することが明らかに
福岡大学は5月30日、オリゴアデニル酸合成酵素(Oas1a)が病原体プリオンの感染に一定の抑制効果を示すことを明らかにしたと発表しました。
プリオンは、ウシのプリオン病(狂牛病)や、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病などの原因となる病原体です。ヒトのプリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病は、年間100万人に1人程度の割合で発症する稀な疾患ですが、発症すると認知症などの症状が急速に進行し、約1年で死に至る指定難病であり、現在も有効な治療法は確立されていません。また、北米を中心に野生のシカにおけるプリオン病の拡大も問題となっています。プリオンは遺伝子を持たないタンパク質が主体であり、これまでは生体に備わる免疫機構は有効に働かないと考えられてきました。
今回の研究で、オリゴアデニル酸合成酵素(Oas1a)が、病原体プリオンの感染を抑制する働きを持つことを発見しました。今回の知見が、指定難病であるクロイツフェルト・ヤコブ病の治療法開発の足掛かりになると期待されます。
なお、同研究の成果は、「Brain」オンライン版に5月23日付で掲載されました。