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【米国】IgA腎症治療薬シベプレンリマブ、FDAが生物学的製剤承認申請(BLA)を受理

大塚製薬株式会社と米国子会社であるOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(OPDC社)は5月26日、シベプレンリマブ(一般名)の生物学的製剤承認申請(BLA)が、成人のIgA腎症に対する効能で米国食品医薬品局(FDA)に受理されたと発表しました。

IgA腎症(指定難病66)は、20〜40歳代の成人に比較的多く発症する進行性の自己免疫性慢性腎臓病です。免疫複合体が腎臓に沈着し、進行性の腎機能低下を引き起こすことにより、多くの患者さんが生涯のうちに末期腎不全に至る可能性があります。

シベプレンリマブは、IgA腎症の発症と進行において重要な役割を果たしているAPRIL(A Proliferation Inducing Ligand)の作用を選択的に阻害することで、糖鎖欠損IgA1(Gd-IgA1)の産生を抑制します。これにより、IgA腎症の病態形成における4-hitプロセスである「Gd-IgA1の産生」、「Gd-IgA1に対する自己抗体の産生」、「免疫複合体の形成」、「免疫複合体の糸球体メサンギウムへの沈着」の過程を抑制する新たな治療となる可能性があります。シベプレンリマブは、患者さんが4週ごとに自己投与が可能な皮下注射剤として開発されており、治療の利便性向上も期待されています。この薬剤が承認されれば、疾患の根本原因にアプローチすることで腎機能の低下を遅らせ、末期腎疾患への進行を抑制する新たな治療選択肢となることが期待されます。

今回の申請は、フェーズ2(ENVISION)試験およびフェーズ3(VISIONARY)試験(NCT05248646)の結果に基づいたものです。この試験では、シベプレンリマブを投与した群とプラセボを投与した群とで比較が行われました。その結果、主要評価項目であった投与9ヵ月後の24時間尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)において、シベプレンリマブ投与群はプラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある減少を示し、目標を達成しました。この結果は、シベプレンリマブがIgA腎症の病態形成の過程を抑制する可能性を示唆するものです。

OPDC社の上級副社長兼医学責任者John Kraus氏はプレスリリースにて、「大塚製薬は腎臓病領域における治療が困難な疾患に正面から取り組み、IgA腎症のような複雑な病態を抱え、十分な治療を受けられていない患者さんに対して進展をもたらす治療の提供に努めてきました。シベプレンリマブは、IgA腎症の患者さんがご自身の都合に合わせて自己注射できる薬剤です。この疾患を抱えている方々に、効果と利便性を兼ね備えた治療選択肢をお届けできることを、大変うれしく思います」と述べています。

出典
大塚製薬株式会社 プレスリリース

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